Lucky☆Prince

□003★偵察の君
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それから休憩が終わり


景吾が練習に戻り、


また千石さんと二人きりになった。



千「あのね、こないだシャバドゥビさんにもらったみかんなんだけど…」



こないだのみかんとは

私があげた顔つきのみかんだ。


『ん?あ、美味しかったっ?』



私の田舎のおばあちゃんが作った

とても美味しいみかん。





千「それなんだけど…」



と千石さんは悲しい顔をした。



『あれ?…美味しくなかった??』



千「実はね…」




話によると千石さんは上着のポケットにしまい


帰りのバスで食べようと思っていたら


ラリーしに行っている間に


同じテニス部の人に食べられてしまったらしかった。



なあんだっ美味しくなかったのかと思っちゃった!



『そうだったんだっ、じゃあ今度またあげるねっ』




千「シャバドゥビさん…ありがとう!

今度は絶対誰にも渡さないからね!」





うんっと言うと



千石さんは、あっち見に行くね、と


違うコートに行ってしまった。




本当に偵察だったんだ…


少し、残念だなあ…





と思っていると後ろで


女の子二人組の口から彼の名前を

偶然に聞いてしまった。




「あー、あれ千石くんじゃなーい?」


「本当だーっキヨだ!

あのオレンジは間違いないよっ!」




キヨ…?


あ、千石清純だから、キヨなのかっ



その二人組はたしか氷帝のマネージャーだ。


私よりも前からいるマネージャーだった。



偵察よく来るって言ってたし、


お友達なのかなー?



行こ!行こ!

と、その二人組はやけに嬉しそうだったので



私はつい気になり二人組についていく事にした。






やがて千石さんの近くまできたので


私はもの影に隠れることにした。




「キ〜ヨ!久しぶりっ」



千「ん?あっひとみちゃーん!久しぶりー!」



「ヤッホー千石くんっ」


千「おおっまみちゃんまでっ二人共久しぶりだね〜」






なんだ、やっぱお友達だったんだ、と


元の場所に戻ろうとした時だった。



千「やっぱ二人共、可愛いね〜!」



…え?



千「ねえねえ、またデートしようよっ!」




え、うそ…



二人組はやだぁ〜とか、も〜とか

言ってるわりにはまんざらでもなさそうだった。







千石さん?だよ…ね?



私には信じられない

いや、信じたくない出来事だった。



普通、友達同士デートってしないよね?


それにまた、って


前にしたことあるんだ…?





っ…



あんな人だったなんて…!







私の中の


綺麗な綺麗なオレンジ色、


大好きな大好きなみかん色、



面白くて優しくてかっこいい彼

のイメージが





灰色に壊された。
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