機動戦士ガンダム00

□雨
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俺は、何も救えない。
人も、国も。何も.......。


雨の降る今日。俺は、この冷たく、哀しい世界を、公園のベンチから見つめていた。ベンチの上には、木の天井があった為、俺は傘を差さずに、この世界の様子を伺えた。
もう陽は、夕暮れだ。

冷え切った人々。平和と言えない毎日。
世界中では、苦しむ人々が居る。だがそれを知らない人間がたくさん居る。そう思うと、俺は悲しい。
この世界に、一体何が不満なのだろう。人間の考えることは、理解できない。

「よう、刹那」
「ロックオン・ストラトス.......」
こんな雨の中、一体何しに.........。
「何しに.......」
「いや、お前が深刻な顔をして家を出てくのを、沙慈・クロスロードが言ってたぜ?」
お前はいつの間に沙慈・クロスロードと仲良くなっているんだ.........。
「深刻.......」
「確かにそうだな。何か、考え込んでいるのか?」
ロックオンは俺の隣に座った。
ロックオンになら、話せるだろうか。そして、真面目に聞いて、答えてくれるのか.......。
「ロックオン。その......ちゃんと聞いてくれるか?」
「ああ、勿論」
.........よし。

「お前はこの、歪んだ世界を、どう思っている」
「歪んだ世界、ね.......。まあ確かに、歪んでるよな。思う、か。ならやっぱり、戦争や紛争を考えるな」
戦争や紛争.......。そう、人間が居れば、争いは起きる。それは、昔から変わらない。
「戦争っつーか、人間同士の争いってよ。醜いよな」
「ロックオン........」
「って、そんなこと言ったら、俺達のしてることも、醜いよな。........複雑なんだよな。それに、上手くできてる」
「ああ。それには俺も同意出来る」
「ははっ。.......じゃあ俺からも質問するぜ。お前は、.........誰を、何を信頼・信用出来る?」
「信頼.......」
俺が最も信用しているのは、エクシアと、
「信用しているのは、エクシア」
「やっぱし.......」
「っと」
「!」
「プトレマイオスの乗員、ガンダムマイスターは、信用できる」
「刹那........」
俺は、変わっているのかもしれない。
初めて、信用できる仲間、が出来た。

「今まで俺は、誰一人信用しなかった」
「そりゃ、ま。そうだろうな。........俺だって最初は自分以外は、信用していなかったしな」
「だが、変わった。いつの間にか」
人とは、こうも変われるものなのだろうか。
「信頼。........俺」
その時、凄まじい爆音が街から聞こえ、煙と火を上げていた。
「あれは......!」
「テロだろ。おっ、そう思っていると........」
スメラギ・李・ノリエガからか。
『ロックオン。どうせ刹那と一緒に日本に居るのでしょう?刹那もよく聞いて』
新たなミッションか........。



ガンダムに乗り込む俺達。
「刹那。さっきの答え。このミッションが終わったら、聞かせてくれ」
「了解」
言うべきなのだろうか。.........
今は、目の前のこと。戦いに集中するべきだ。俺は戦争根絶に関わることなら、どんな些細なことでもやり抜けてみせる。それが


ガンダムマイスターだ



END

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