プレゼント
□クラウド誕生日☆2010
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「それは儚い、恋心」
いつも通り資料室や図書館に行こうかと思っていた矢先。
彼から連絡が入った。
『今日休みなんだ〜。え、何?クラウドも休みなの?んじゃあ何時ものとこで待
ち合わせな!』
という、何とも一方的な電話。
何時までになんてわからないくせに、直ぐに部屋を飛び出した自分がいて。
何時ものとこ、その言葉が少し嬉しかった。
彼との二人きりの秘密の暗号のようで。
心が弾んだ。
走り出したら止まらなくて。
息を切らせて、人混みを駆ける。
その場所にはまだ彼はいない。
それは好都合。
息を整え、最初に会ったら何て云ってやろうか、なんて。
ドキドキを留めるには丁度良かった。
「ねぇ、ザックスったら〜!」
甘ったく甲高い女の声が。
今、確かに゛ザックス゛と云った。
声の方へ顔を向ければ、
そこには彼の後頭部と、若い女がいた。
「遊ぼうってば〜!!」
「ごめん、今日は先約があるから、な?」
「待ってってば!」
女が彼の腕を掴む。
その時。
何か心がざわついた。
どうして人は夢を見るんだろう。
叶わないとわかっているのに。
どうして俺は、
ザックスの事が好きなんだろう。
ああ、苛々する――
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