切なさと愛しさの間
□第四章 お久しぶりです!万事屋銀ちゃん!
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私と銀ちゃんは、私が鬼兵隊女中に入る半年位前に知り合った。
お互い甘党で、偶然甘味屋で食べてた時に気が合い、それからよく甘い物食べに一緒に行くようになった。
簡単に言えば甘党友達だった。
そんな銀ちゃんと私だったけど、ある事がきっかけで私達の仲は崩れ、今の今まで連絡も取らず、私も会いに来なかった。
―それは私が女中の面接を受ける事になった時の事―
『銀ちゃん私、明日面接なんだ!』
いつもの様に銀ちゃんと一緒にファミレスでパフェを食べてた時だった。
何の気無しに私からその話題を振った。
「面接?あれサリンダ、仕事してなかったっけ?」
『コンビニのバイトはしてるけど、やっぱりもう20代半ばにもなっていい加減フリーターはまずいかなって思って!』
「・・・そうか、まぁいいんじゃないの。で、何の仕事するわけ?」
いつもと変わらず銀ちゃんは死んだ魚のような目で私に聞いてきた。
『それが、女中なの!しかも住み込みなんだ!』
「女中?・・・サリンダにできるわけ?」
不安げに眉毛をひそめて聞いてきた銀ちゃんにちょっといらっときた私は、
『出来るよ!!だてに生きてきたわけじゃないし、一人暮らしで自炊とかだってちゃんとやってるんだから!!』
「ふ〜ん」
『なっ・・何そのふ〜んって!』
「で、住み込みってどこら辺でやるわけ?」
『あっ!話逸らしたよね今!!・・・・・もう・・・どこら辺って船だよ』
ふてくされながら言った言葉に次の瞬間銀ちゃんの顔つきが変わった。
「ふ・・ね?」
『そう、船!』
「おま・・・船ってまさか、何てとこだよ!!」
さっきまで冷静だった銀ちゃんとは違って、急に真剣な顔になって私に問いただす。
『え・・・、何てって確か・・・き・・きへいどうこうって言うとこだったような・・・』
「!!・・それって・・・高杉の・・・」
『えっ??銀ちゃん知ってるの??』
「・・・・」
『銀ちゃん??』
いきなり問いただしてきたと思ったら急に黙ったまま思い込んだ感じの銀ちゃん。
・・・何なの??・・・
食べてたパフェの手を止めてまで一体どうしちゃったの銀ちゃん??
私、何か変なこと言っちゃった??
私は黙ったままの銀ちゃんを目の前に首を傾げながら銀ちゃんの様子を見ていた。
すると・・・
かわいらしい銀ちゃんの口が動いた。
「サリンダ、明日の面接辞めとけ。」
『えっ?!』
予想もしてなかった言葉に私は目を見開いた。
『な・・何で??』
「いいから。そこだけは辞めとけって。サリンダにとっていい事なんかねえよ」
『何で!!??いきなりそんなこと言われたって納得できないよ!』