長い話

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「なぁ、聞いたか夜久!」

朝教室に入った瞬間私たちの目の前に飛び込んできたクラスメイトの粟田くん。思わず私はびっくりして小さく悲鳴を上げてしまった。

「てんめぇ粟田ぁ!いきなり飛び出てくんじゃねぇよ!」
「あ、わり夜久!」
「俺も驚いたつーの!」
「まぁまぁ哉太落ち付けって」

苦笑をもらしながら謝る粟田くんに怒った様な表情を浮かべるのは幼馴染の七海哉太。隣りで宥めているのはもう一人の幼馴染の東月錫也。そして立ったまま寝ているのが土萌羊だ。
そしてこの【星月学園】たった一人の女子生徒―夜久月子はふんわりと困ったように笑い粟田に聞いた。

「おはよう粟田くん。えっと、聞いたって何を?」
「あ、そうそう!今日この学園に転校生が来るって話!」
「「転校生?」」

今は六月の半ば。こんな時期に転校生なんて、珍しい話だ。

「珍しいね」
「だな」
「天文科の二年なのか?その転校生」
「んにゃ、二年らしいけど確か西洋占星術科だったな」

けどな、一番重要なのは此処からだ。そう言って私の顔の前に粟田くんの人差し指がぐいっと突きつけられた。にやりと笑った表情がなんとも楽しそうだ。


「その転校生、“女の子”なんだ」






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