短編

□叫んだ思いは
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小鳥の囀りによって目を覚ました。
どうやら私は、泣きつかれて眠ってしまったらしい。
ふと、ドレッサーの鏡に写る自分を見た。
その泣き腫らした自分の顔を見て、シンクの死は、夢であってはくれないのだと、自嘲気味に笑った。
タオルを濡らして目を冷やす。
気持ちがいいと感じたことから、瞳が熱を持っていたことに気がつく。
どうやら私は、痛みを感じることができなくなったみたいだ。
突然、部屋が明るくなった。
雲によって隠れていた太陽が姿を現し、カーテンの開いていた窓から、その光が入ってきたためだ。
数日前までの私だったら、光を浴びて、体を伸ばし、爽やかな朝を迎えていただろう。
しかし、今の私にとってそれは、鬱陶しい以外の何者でもない。
カーテンを閉めて光を遮る。
それでも部屋は明るいが、まだましだ。
枕に顔を埋めて、窒息死しないか、なんて考えてみる。
まあ、考えてみるだけで死ぬつもりなんてさらさらないが。
目を瞑ってあの華奢な背中を思い出す。
一筋の涙が、頬を伝った。



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