短編

□さようなら
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「あーもー。ちくしょー」


壁に背を預けると、疲労によって自由のきかなくなった体は崩れ落ちた。


「ははっ。膝が笑ってやがらぁ」


そう呟いて、離れた所で敵の大将と戦っているかつての仲間を見つめる。
いつもそうだ。
あの男は、忘れようとした矢先に顔を出し、そしてまた私の瞳を、心を奪ってゆく。


「っとにさぁ、カンベンしてくれ…」


近づいたと思ったら離れてく。
いつもいつも。
私は。
あいつの背中しか見ることが出来ない。


「従業員が増えたとか、聞いてねーぞオイ」


私が、ずっと行きたかった場所。
そこにはもう、誰かがいて。


「なーにが"手伝ってくれ"だ。私が手伝う必要なんざ、なかったじゃねーか…」


やっと。
やっと、肩を並べられると思ったのに。
なのに…。
お前はいつも、私の先を行くんだ。
…私の知らない誰かと共に。


「これが最後だからな、銀時」


私が、お前の頼みを聞くことも。
私が、お前の姿を見ることも。
私が、お前の声を聴くことも。


「…ずっと、好きだった」



銀時が勝ったことを見届けてから
ふらつく体に鞭を打ち、私はお前に背を向けた。


−−−−−−−−−−
友人達に
「しゃべり方が銀ちゃんっぽいから、ヒロインの台詞とは思わなかったw」
「いっそ高銀にしてしまえ」

なんて、言われてないんだからねっ!

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