お題

□バカップルって言うな!! 1
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奏矢「恭介と会長って、なんでそんなに仲良いんだ?」

恭介「は、はぁっ!?」



屋上で、隆志、奏矢と弁当を食べていた恭介は、思わず弁当を落としかけた。




隆志「あー、確かに。会長と恭介って仲いいよな」

恭介「べ、別に仲良くねーよ!」

奏矢「いやいや、KYコンビって言われてるんだから、それなりの仲だろ?」

恭介「それなりのって、誤解されるような言い方するんじゃねぇ!」

奏矢「またまた〜!いつもなんだかんだ良いながら、生徒会の仕事とか手伝ってるし」

恭介「悠人に押しつけられてるだけだっての!」

隆志「でも、ちゃんと仕事こなすんだろ?」

恭介「そ、それは……引き受けたからには、やらなきゃだろ」

奏矢「ほらな」



反論したかったが、確かに、悠人との仲は自覚しつつある。
認めたくないが、KYコンビと言われるのも少しだけ納得していた。



そもそも、恭介は悠人と“そういう関係”である。
“バカップル”と呼ばれないだけマシかもしれない……恭介はそう思った。








すると、突然、屋上の扉が開く。

屋上に来たのは、悠人だった。



悠人「恭介、こんな所にいたのか」

隆志「あっ、会長!」

奏矢「珍しいですね。会長が屋上にくるなんて」


恭介「悠人……」


悠人「なんだ恭介。そんなに嫌そうな顔をしなくてもいいだろう」

恭介「嫌そう、じゃなくて嫌なんだよ!
   お前がわざわざ捜しに来るって事は、だいたい用事があるからだろうが」

悠人「ああ、そうだが?
   今すぐ生徒会室にきて、俺の仕事を手伝ってくれ」

恭介「今すぐって、人の事情も考えろよ……まだ弁当食ってるのに」

悠人「資料整理をしていたんだが、量が多くてな。力仕事は得意だろう?」

恭介「人の話聞けよ!!」










悠人「というわけで、恭介は借りていくぞ」





いい笑顔でそういうと、悠人は恭介の腕を掴んでと、引っ張っていった。


恭介「お、おい!離せ!まだ弁当食べてねーんだよ!」

隆志「恭介安心しろ!お前の弁当は俺がちゃんと食っとくから!」

恭介「そうじゃねーだろ!!助けろよ!」


勿論、奏矢と隆志に助ける気などなく。
恭介は悠人に引っ張られながら、ドアの向こうへ消えていった。












二人が去った屋上は静かで。


奏矢「やっぱり仲いいな、二人」

隆志「うーん……」

奏矢「隆志?どうしたんだよ」

隆志「いや、なんていうかさ。怒ってたけど、嬉しそうだったんだよ、恭介」



思い出すのは、恭介の顔。
悠人が来たてから、ずっと顔に赤みがさしていた。

怒っているような喜んでいるような、そんな顔。



奏矢「……もしかして、あの二人バカップルとか?

隆志「へっ?奏矢、何か言ったか?」

奏矢「……いーや、別に」



恭介の弁当をもぎゅもぎゅ食べる隆志とは裏腹に、奏矢はに〜っと笑みを浮かべる。

全力で否定するであろうその言葉を、あえて言ってやろう。
そう決意しながら、奏矢は中断していた昼飯を再び食べ始めた。






    「ばか、そんなんじゃねーよ」



(悠人!わかったから、いい加減離せよ!)
(別にいいじゃないか。俺達は“付き合ってる”んだから)
(っ!!そ、そういうのこういう場所で言うんじゃねぇ!!)


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