crimson moon

□祭囃子
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その日は新月だった



真っ暗闇の中、勾狼族の野営用テントの影には、時音と神威の気配があった


一人一人の人数を確認する時間がもったいないので、指揮官の数と役職を確認する


それで、現在不在の者も含めたざっとした人数がわかる



指揮所の様相のテントの物陰から指揮官クラスを数えて、最小グループの人数を確認する


続いて、襲撃のシナリオや、それに類する書類などを物色してテントを出た



「あとは、阿伏兎と少し話して作戦決めないとね…」



「うん、細かいことは姉さんと阿伏兎に任せるよ」



戦うことにしか興味のない夜兎そのものを体現したセリフを吐いて神威が微笑んでいた



「あんたって相変わらずね」



一瞬目をまん丸く見開いた後、神威は再び微笑んだ



「あんた、あの女の子たちも私に何とかさせようと思ってない?」



神威は微笑んだまま固まっていた



時音は少しウンザリした表情を浮かべると、茂みの陰で立ち上がった




「帰ろうか……」



「うん」



子供のような微笑みに変わった神威が時音の後について歩き始めた






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