DEATH NOTE 短編集

□野生的なアイツ
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「流河!」
「はい何でしょう」

彼を表す言葉は簡単に言えば野性的
猫背にTシャツジーパン
酷い時は靴すら履かず裸足で居る事の方が多いかもしれない
彼と四六時中一緒に居るわけではないからもしかしたら靴を履く事すら本来ならしないのかも…

こんな奴がどうして入試トップの成績で合格出来たのか未だに理解しかねる

同点トップの夜神月の方がまさにそれっぽくて彼とは正反対で素敵じゃないか
きっと夜神月は卒業後エリート街道まっしぐらなんだろうな
羨ましいわけではないがそれなりに憧れる所はある

それよりも問題は今目の前にいる流河旱樹だ

人気アーティストと同姓同名

本当に変わった奴
何を考えているのかさっぱり分からない
そのくせ妙に鋭い

見た目通りというか見た目に反してというか…運動は出来るらしい
イギリスでテニスのjr.チャンピオンになった事もあるとか…

しかし今はそんな事どうでもいい

「何でしょう、じゃないわよ」
「何をそう怒る必要があるんですか」
「べ、別に怒ってるわけじゃないけど…」

何故か彼と居ると落ち着かない

全てを見透かしたような目
態度、言動

全てが私を落ち着かせない

「…で?用件は?」
「はい、単刀直入に言います」
「………」
「私は近日中に死ぬでしょう」

…え…?

「キラの手によって」
「……キ、ラ…?」
「そうです」
「待って!意味が分からない…え、ちょっと待ってよ…死ぬとか…アンタ…」

落ち着かない

どうしてこんなに混乱してる?
キラに殺される?
流河旱樹が?

「好きです」
「………は?」
「それが言いたかったんです」

やめてこれ以上混乱させないで

落ち着かない

心臓の音が煩い

流河旱樹が私を?

「それでは、今日はもう授業がないので」
「ッ!」

待って…

「ア、アンタは!…怖いとか思わないのッ!?」
「……怖い、ですか…そうですねえ…」

近づくな
いや、落ち着け

目の前で立ち止まると伏目がちに、しかしはっきりと呟いた

「怖いというよりは残念で仕方ありません」
「は?」
「もう貴方に会う事が叶わない…それだけが心残りでしょうね」
「………」

どうして笑っていられる?
死ぬかもしれないというのにどうして?

一番理解できないのは

死ぬのが残念な理由は私にもう会えなくなるからだと言う流河旱樹

意味が分からない

「……だったら…精々死なないようにする事ね!」
「はい、もし死なずにまた会える時がきたら」



ご褒美にキスの一つでももらいます



は、はあ!?約束ですよちょ!何勝手に決めて…!それではさようなら愛してますッ!お、おま…お前なんかっ……くっそー!ムカつくー!






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