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五年生の久々知、尾浜、竹谷の三人は、不破の部屋に集まっていた。
「おい、どうするんだ、これ…」
竹谷が言う。
「俺に聞くなよ」
尾浜が答える。
「取り敢えず三郎が帰って来る前に何とかしないと…」
久々知が言った。
三人が何を深刻そうな顔で話しているのかというと、それは不破の事についてだった。
「三郎は今何を?」
「分からない」
何故だか、不破は5歳児ぐらいの身長にまで縮んでしまった。
中身もまた、5歳児並みであった。
これを不破溺愛の鉢屋に見せてしまうとまた大変なことになってしまうのではないかと三人は焦っているのである。
「だけど、どうして雷蔵がこんなことになったんだ?」
「それが、善法寺先輩が…」
「変な薬を開発して…」
「…保健委員長ってそんなことも出来たのか」
「「「恐るべし、保健委員長」」」
三人が必死に悩んでいる中、不破は一人、昼寝をしていた。
やることもなく、疲れてしまったのだろう。
「それにしても、やっぱ子供って可愛いな」
尾浜が寝ている不破の頭を撫でる。
すると、久々知と竹谷の二人も不破の寝顔を覗き込む。
「本当ちっちゃくて可愛いな」
「おい、勘右衛門、俺にも撫でさせろよ」
「ちょっと待てよ」
「僕にも」
三人は、これからどうするのかということそっちのけで、小さくなってしまった不破の取り合いを始めた。
「あれ、兵助に勘右衛門に八左ヱ門?私の部屋で一体何をしているんだ?」
結局何の解決方法も見つからぬまま、鉢屋が部屋に戻ってきてしまった。
三人はとっさに不破を隠す。
「い、いや?」
「ちょっと雷蔵に用があって…」
しかしその不破は居ない。
「で、雷蔵はどうしたんだ?」
部屋に不破の姿が見られないので、鉢屋は疑問に思った。
「え…」
「それは…」
「その…」
三人とも返答に詰まる。
不破は確かにここに居るが、見せてしまうと鉢屋が何と言うか分からないので三人とも気が引けて言えなかった。
「どうしたんだ?」
「雷蔵は…」