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□B
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「おわっ!?」


富松は何かに躓き、バランスを崩して前のめりに倒れた。
富松は次に来る衝撃を予想し、目をきつく瞑る。
しかし、予期していた衝撃は来ない。


「大丈夫か?作兵衛」


食満が抱きとめていたからである。


「は、はい…///」


(うわあああああああ///)


富松は、口を開閉させるだけだった。
恥ずかしさから言葉が出てこないのだ。
そして次に食満が取った行動に、富松の体温は更に上昇する。


「手を貸せ。また転ぶぞ?」


食満は富松の手をそっと取った。
富松の顔は、熟れた林檎の様に赤くなった。
だが、辺りは暗く、食満には見えない。


「はい…///」


(し、心臓が……///!)


富松は心臓が激しく脈打つのを感じた。
食満に聞こえてしまわないかと俯く。


(って、なんで俺はこんなにドキドキしてる
んだ!)


富松は首を左右に振って気持ちを切り替えた。
そしてそんな事をあれこれしている間に、三年長屋へ到達した。


「あ、ありがとうございました」


「気にするな」


「おやすみなさい…」


「あぁ、お休み」


互いに挨拶を交わすと、食満は来た道を戻っていった。
六年長屋は反対方向なのに…。
そんな事にも気づかず、富松は自室に入り、すぐに寝てしまった。
そして朝。
小鳥のさえずりで富松は目を覚ます。


「あれ?」


富松は、自分の枕の上に手裏剣が置いてあるのに気づく。
それは、昨日富松が昨日失くしたものだった。


「どうしてこれがここに…」


そこで富松はふと、昨日食満が言っていた事を思い出す。


『こんなに暗くっちゃ、探し物は見つからないぞ?』


昨夜、富松は手裏剣を失くしたことを誰にも言っていない。
では何故食満は富松が手裏剣を探していたのを知っていたのだろう。


「食満先輩…///」


富松は手裏剣を胸に抱いた。


fin.
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