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上手い言い訳が考え付かず、尾浜がしどろもどろしていると、久々知の後ろに隠れていた不破が出てきてしまった。
騒いだため起きてしまったのだ。
「雷蔵!」
鉢屋は目を見張った。
身体は子供だが、顔は不破のままである。
何事かと鉢屋は三人の方を見やった。
三人は慌てて目を逸らす。
「俺達は何もしてないぞ?これは善法寺先輩が作った薬の所為であって俺達は…」
「善法寺先輩はしばらく経てば元に戻るって…」
「そ、それじゃぁ僕等はもうそろそろ行こうか」
三人は逃げるように鉢屋達の部屋から出て行った。
残されたのは部屋の主の鉢屋と不破の二人。
鉢屋は不破の事をじっと見つめる。
「ら、雷蔵おおおおおおおおおおおおおおおおお!」
枷が外されたかのように、鉢屋は不破に抱きついた。
「さ、さぶろー?」
「本当可愛いな雷蔵!!」
鉢屋は不破に頬擦りをする。
不破は息苦しそうに顔を歪めた。
「雷蔵厨だからってあそこまで行くとただのショタコンだよな…」
「いや、雷蔵に溺愛のただの変態だろ」
「勘右衛門、八左ヱ門、さっきから毒舌だな…」
久々知、尾浜、竹谷の三人は、近くの茂みからこっそり様子を覗っていた。
「さ、さぶろー…く、苦しい…」
「雷蔵可愛いなー、もう。こんなに小さいだなんて反則だぞ!!」
不破の言葉は全くと言っていいほど鉢屋に届いていなかった。
「雷蔵も大変だな…」
「さぁ、もうそろそろ晩飯の時間だ」
「晩御飯、豆腐だと良いな」
「兵助は本当豆腐が好きだな…」
「あぁ」
「こらそこ、さり気に笹豆腐を展開するな…」
fin.