Novel BACCANO! & デュラララ!!

□小さな予感に、笑みが零れた。
1ページ/1ページ


―――ねぇ、こんなにも子供っぽい事を言ってしまったら、呆れる?



お昼時を少し過ぎた頃、デートの途中、歩きながら彼に尋ねかけた。
実際はその問いは音にはできないのだけれど、それでもあなたは聞いてくれるから。


「呆れるって、たとえば?
まぁ、シャーネがどんなに子供っぽいワガママを言ってくれても、俺だったら呆れるどころか『可愛い』と思うだろうな。
誓ってもいいぞ?
というか、シャーネだったらもっと甘えて欲しいくらいだ」
「…!  ///」


恥ずかしさに一度俯いてしまったが、なんとか顔を上げる。
そうすれば、思ったとおり、笑っているあなたが見える。


(…その、)
「うん」
(……クレアに会ってから、夕暮れがすごく好きになって、でも嫌いになったの)
「…たとえば、どんな時が嫌いで、どんな時が好き?」
視線の先のあなたは、なんだかとても楽しそうで、答える前からもうお見通しなのではないか、とさえ思ってしまう。



(…一人でいる時は、クレアを思い出すから、すごく好き。
でも、今日のように会っているときは、夕暮れになる頃にはもうすぐ別れなくてはならないから、来て欲しくないって、思ってしまう)
「…そっか」
クレアが、私の答えを聞いてから、ちらりと周りを見回す。
なんだかとても機嫌がいいように見えるのは、私の気のせい…なのだろうか?


少し早足で、あまり人がいない公園に入る。
そうして、突然抱き締められて、思わず顔が赤くなる。



「!!」
「これでも我慢したんだぞ?
言ってくれてすぐ抱き締めたかったけど、あそこじゃシャーネは恥ずかしがるだろ?」
「…!」
慌てて、こくこく、と何度も頷く。
流石に、たくさんの人が通る道の真ん中でこんな風に抱き締められたら…考えるだけで、顔が赤くなる。




「…なぁ、シャーネ」
「?」
名を呼ばれて、情けないほどに赤くなった顔を隠したくて俯いていた顔を上げる。
視線の先には―――とても優しく微笑む、あなたがいた。



「俺もさ、シャーネと会ってから前よりも夜が好きになったけど、嫌いにもなった」
「…?」
「仕事もあるし、夜は一緒にいれないから、さ。
だから、夜はシャーネに似てるから、前よりも好きになったんだ。
……けど俺も、夜はシャーネと別れなくちゃならないから、その瞬間はやっぱり嫌だな」
「…!!」

驚いて、思わずまじまじとあなたを見つめてしまう。
すると、あなたは少し照れたように微笑った。


(…クレア、も?)
「あぁ」
(……クレア)
「ん?」
(……嬉しい)
「……あぁ、俺もだ」


(……好き)
「あぁ、俺も……愛してる」

静かに唇が重ねられて、彼のぬくもりに、心が温かくなっていく。





―――景色があなたの色に染まる、夕暮れが好き。
   …あなたを、思い出すから。

―――景色が君の髪と同じ色に染まって、君の瞳と同じ色の月が浮かぶ夜が、前よりもずっと好きになった。


離れている時も、同じ思いでいてくれた事が、嬉しい。





「…なぁ、シャーネ」
「…?」
「そのうち、同じ家に住まないか?
会った日も、最後に別れるのはやっぱり嫌だし、俺は帰ってきた時、真っ先にシャーネに迎えてほしい」
「…!!」
「そのうち、な。
いいだろ、シャーネ?」

断る可能性なんて、きっと考えていない。
そんな自信に満ちた瞳でこちらを見つめる彼に、私もまた、頷いてしまう。



ぎゅっと再び抱き締められて、彼のぬくもりに包まれるのが嬉しくて……私からも、そっと彼の背に腕をまわした。
少し彼が驚いた気配がして、でも次の瞬間に抱き締める腕に込める力が強くなって…喜んでくれたのだろうと感じられる。



……いつか。
同じ場所から出かけて、同じ場所に帰り、同じ時を過ごせる。
そんな時が来たら。
朝も昼も夜も、晴れも曇りも雨も、きっと、この人と一緒にいるうちに好きになってしまうのだろうと、そんな予感がして、そんな姿を想像して、小さく笑みがこぼれた。





後書き

クレシャへの愛が止まりません!!
でも似ない…愛だけ空回りしてます。(泣)
最強カップルな二人だけど、でもこんな風にそこらへんにいるカップルと変わらないような、何気ないことに嬉しかったり悲しかったりすることもあるんじゃないかな、と。
もう二人がラブラブならそれでいいという気もします。(本音)

またもやニセモノになってしまいましたが、気に入っていただける事を祈りつつ〜。





[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ