Novel BACCANO! & デュラララ!!

□エイプリルフール(フィエニ)
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今日は4月1日で、エイプリルフールだ。
一年に一度だけの、嘘をついても許される日。

今までは気にも留めなかったイベントだが、今年ばかりはそうは行かない。




「…な、なぁ、エニス」
「はい、なんでしょうか、フィーロさん?」

リビングにいたエニスに声を掛けると、振り向いて、微笑んでくれた。
それはもう、一緒に暮らし始めて結構経ってから、幸せな事に当たり前のように行われる事なのだが。
…何度味わっても、俺の心臓は慣れるということを知らないらしい。


相変わらず騒がしく跳ねる心臓をなんとか落ち着けるように深呼吸をして、エニスに向き直る。
「……その、今日、何の日か知ってるか?」
「えぇと…さっき皆さんが話していた、『エイプリルフール』という日で合っていますか?」
「そ…そうなんだ。
なぁ、エニス」
「はい」
「きょ、今日はエイプリルフール……だよな」
「はい」
「嘘をついても許される日だから、これから言うのは、う…嘘だから、気にしなくてもいいからな?!」
「…はい?」
不思議そうに首を傾げる仕種があまりに可愛いのと、これから言おうとしている言葉への緊張で、また心臓が騒ぎ出す。

「…お、俺は、エニスのことが……!」
「はい」
「エニスの、こと、が…!!」
「…フィーロさん?」

「……やっぱり無理だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「フィーロさん!?」

エニスに心配そうに名前を呼ばれ、俺はたまらず部屋を飛び出した。





後で残されたエニスはというと。
(追いかけた方がいいんでしょうか…?
でも、フィーロさんは何を言おうとしていたのかしら?
言う前に『嘘だ』と言って、それから『やっぱり無理だ』って…)

後を追うタイミングを逃し、言わんとしていた言葉には全く気付かず、ただ顔が赤くなっていたフィーロに熱があったのではないかということを心配していた。




その頃アルヴェアーレでは。
「おい、フィーロの奴、エニスにいえたと思う方に賭ける奴、いるかー?」
「そんな負けるの確実なほうに賭ける奴ぁいねぇよ」
「おいおい、そりゃそうだが、それじゃあ賭けにならねぇよ」
「諦めろって」

やっぱり、皆の玩具にされていた。





後書き

フィエニを書いた後に、他の誰かで(正直つけなくてもいいような)オチを書きたくなるのは何故なんでしょうか。
まぁそれは私にもわかりませんが、フィーロはこんな感じに周りにからかわれたりアドバイスもらったりしながら、余裕なんて欠片もない状態で頑張って、でも結局言えないまま…とかだと思います。
エニスが気付いてくれるのはいつになる事やら。

ではでは、気に入っていただける事を祈りつつ〜。








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