短編
□過去拍手log
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※銀時誕生(攘夷時代と現在)
昔と今
「銀時、やはりここにいたか」
「…ヅラ」
「ヅラじゃない桂だ」
桂は屋根に登り、夜空を見上げて座り込銀時の近くへと寄った。
「んで何の用だよ」
「皆、お前を呼んでたぞ」
「なんで?」
「今日はお前の誕生日だろ」
「…あっそ」
反応が薄い銀時に桂はしかめっ面になった。
「どうした。今日はお前の誕生日なのに元気ないぞ」
「…ああ、何か気分乗れねぇーんだ。わりぃけど、しばらく一人にしてくれねぇーか?」
桂は渋々と分かったと返事をしてちゃんと来るんだぞと言い残してその場から去った。
自分の誕生日なのに何故か心に穴がポッカリと空いたみたいで、ぼんやりと夜空を眺めた。冷たい夜風が肌寒く感じながら屋根でごろんと横になり、目を閉じた。
「「銀さん(ちゃん)!!」」
ふと目を開けると目の前には眼鏡をかけた少年とチャイナ少女がいた。
さっきまでは夜だったのに何故か空は夕暮れ。そしてやっと自分が昔の夢を見ていた事に気付いた。
「新八、神楽」
「こんな所で寝てないで早く来てください!」
「うおっ!?」
突然新八が銀時の右腕を掴み、グッと身体を起こすと神楽が背後に回って背中をグイグイと押す。
「お、おい!」
「早く行くネ」
なんだなんだなんだ!?と混乱する銀時を無視して二人は銀時を万事屋へと連れて来た。
居間の襖の前に着くと新八は開けて下さいと微笑んだ。チラッと神楽の方へ向くと神楽もにっと笑っている。
戸惑いながらも銀時は襖を開けると突然、パンッ!とクラッカーの音が聞こえた。
『お誕生日おめでとう!!』
そこにはお妙達がクラッカーを持って銀時を迎えた。銀時はポカンと驚いてしまった。
「今日、皆さんが銀さんのために準備してくれたんですよ」
新八の言葉に銀時はまだ驚きながら皆へと視線を向き、口を開いた。
「…あ、ありがとよ」
さっきまで寒かった身体が少しだけじんわりと温かくなってきた。
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