性転換転生トリップ

□訓練生編
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0.追憶の空


“前の世界"から“今の世界"に転生してもう、15年近くになった。


歴史も文化も違う世界だけど今も昔も何一つ変わらない。
僕が見ている空には宇宙船はなく時々、飛行機が飛んでいるぐらいだ。


そんな前世の記憶がある僕、志村新八だが特に変わった事がない。変わったといえば…性別が女の子になってしまった事だ。

泣いていいのか分からないけど、僕は見た目が可愛い女の子ではなく、前世と全く変わらない地味しか取り柄がない容姿だ。


「新八ィ!」

「ギャアアア!!って燐君、ビックリしたじゃないか!!」

「お前こそ、ビックリし過ぎだろ!逆にコッチがビックリしたじゃねーか」

「いや、背後からいきなり大声で声掛けられたら誰だってビックリするわ!!」


奥村燐は同じ教会で育った幼なじみ。
僕の両親は事故で亡くなり引き取る親もいない時に父の友人である教会の神父さんが引き取ってくれた。


「また、喧嘩?大丈夫?」

「平気だって!かすり傷ばっかりだしよ」


燐君は喧嘩強く、やんちゃばかりするが性格は真っ直ぐで…なんとなく、神楽ちゃんに似ている。


「新姉さん、兄さん」

「よぉ、雪男!」

「兄さん、また喧嘩したんだね。しかも、怪我しているし」


僕と同じ眼鏡をかけた少年は雪男君。雪君は燐君の双子の弟で僕の事を姉さんと呼んでいる優しい子だ。


「あっ、そうだ。燐君、雪君、今日は僕が夕飯作るけど何が良い?」

「すき焼きっ!」

「「それは無理!」」

「即答かよ!」

「あーじゃあ、すき焼きは家計的には今は無理だけど、今日は肉じゃがで良い?」

「おっ、それもいいな」

「僕も」

「じゃあ、夕飯の買い物するから二人とも手伝ってくれる?」


そう言うとうんと返事を返した。





二人は僕が前世がある事を知らない。知っているのは神父さんだけ。

燐君は自分が悪魔の子なんて知らない。それを知っている雪君は何かを隠しているのは知っていた。


だけど、今の僕にはこの平凡な日常が続いてほしい。


『『新八!』』

「「新八(姉さん)?」

「あっ、ごめん。今行くね」


今も昔も変わらない光景が僕は好きだから。
だけど、そんな僕の思いは簡単に崩れる日が来るなんて、その日の僕らは何も知らない。



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