short stories
□Sleeping Beauty
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もしかしたらと思っただけなのに、
まさか本当に眠っているとは思いもしなかった…。
Sleeping Beauty
なぜか毎週金曜日にうちのテニス部を見学に来る俺のクラスメート、泌香唯厨。
事務的なこと以外はあまり話したことがないし、
テニスコートに来ても少し離れた芝生の上で練習が終わるまでじっと見ているだけ。
誰に話しかけるとかいうこともなく、ただ見て帰る。可笑しなやつだ。
そんな泌香が今日、金曜日だというのに、一度も練習を見に来なかった。
何か急用か、それとも残って何かやっているのか。
そう考えた時、ふと泌香が今日、日直に当たっていたことを思い出した。
日直の仕事をしていて眠り込んでしまったのではないか。
練習を終え、着替えを済ませた後、俺は戸締りを柳にまかせ、
自分の教室へと足を運んだ。