short stories

□少年の、大志を抱け
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いやいやいやいやちょっとまて!

何この突然の来客…?




少年の、大志を抱け




「よぉ…」

「いや、よぉ じゃなくてさ…」

「悪いな…」

「いや、うん。悪いよ、ものっそい」


幼馴染の亮とやる、『毎年恒例・2人で宿題終わらせようぜの会〜夏休み編〜』に、

今年はなんだかオマケがついてるみたいです。



「ヒマだったみそ!」

「暑かったC−」

「電気代かかんねん」

「怪しかったからなぁ、宍戸のやつが」

「え、ミーティングじゃないんですか…!?」


ガックン、ジロちゃん、侑士に跡部に長太郎…




「いや、ヒマじゃないし、こんなに人来たらそれこそ暑苦しいし、うちだって電気代タダじゃないし、亮よりむしろあんたの方が怪しいし、テニス部のミーティング、あたしカンケーないし…!」





「いや、わりぃ…なんつーかその、なりゆきで…」

「へーえ。じゃその謎の成り行きとやらを聞かせてもらおうじゃないのさ。」







〜30分前・宍戸家〜

「んじゃ行ってくるわ」

「あ、ちょっと亮!」

「なんだよ、かーさん」

「手ぶらで行かないでジュースかなんかもって行きなさいよ!」

「わーったわーった!!」


ガコンッ


「ってそんなもんねーのに何言ってんだよ!」

「ばかだねぇ〜、あるわけないわよ。自分の小遣いで買ってけってこと!」

「なっ…!」

「おーおーおー、このクソ暑いのに彼女んちでいちゃいちゃすんのかー??」

「唯厨は彼女じゃねぇよ!兄貴だって幼馴染だろ! 俺は勉強しに行くんだっつーの!」

「どーだか(ニヤリ)」

「!!」

「でも唯厨ちゃんも中学はいってかわいくなったねー。モテるんじゃないの??」

「出るとこ出てるしなー…」

「オイ、兄貴…」

「ん?」

「侮辱罪で罰金1000円」

「罰金はいいけどちと安すぎないか?」

「亮!女の子2人きりだからって早まるんじゃないよ!!」

「うるせー!!」



バタンッ!



「素直に小遣いねぇっていやぁいいのに…」

「…っ亮、まさか唯厨ちゃんにもうフラれたとか…!」

「(一理あるなー…)」


ったくなんで俺の家族はこんなんばっかりなんだ!!

しかも親戚まであんなんだからたまったもんじゃないぜ!!!




――――



「あいっかわらずやさしーねぇ。亮の兄貴は。」

「やさしかねーよ。いちいち一言多くてやんなるぜ。」

「んで、そのお金もって、あんたは何処まで行ったのよ。」

「……コンビニ。」

「…!そこのコンビニとうちまでたった20mしかないのにこんだけ拾ってきたの!!?」




「拾ってきた言うなー!!」

「そやそやー!捨て犬やないんやでー!」

「犬や猫の方がまだましよ!」

「ハッハッハッハッハ!!」←跡部

「「「・・・・・」」」



「ル、ルーズリーフがなくるなるところだったのを思い出して、向こうのコンビニまで行ったんだよ。そしたら…







〜20分前・向こうのコンビニ〜

『いらっしゃいませ〜』


「ねぇねぇ岳人。今入ってきたのって宍戸じゃない??」


コンビニのお菓子コーナーにしゃがんでいたジローと岳人。

「あ、ほんとだ。…ん?でもおかしーぜ…」

「なにが?」

「宍戸が休日の朝からコンビニにいる。しかもわざわざ遠い方のコンビニに…」

「うわーうわー。それってなんか怪C−!?」

「あっ、しかも見ろ!宍戸の持ってるかごの中!ペットボトルが二本!」

「午後の紅茶の無糖にコーラ…?コーラは宍戸のだよね」

「わざわざ無糖なんて…特定の人物ってことか?」

「なんか、宍戸から事件のニオイがプンプンする!」

「他には…菓子とテニス雑誌に…、ルーズリーフ?!」

「キーワードはルーズリーフ!!」

「こりゃあタダ事じゃねぇ!よし、行くぞジロー!!」

「アイアイサー!」



コンビニを出た直後に、宍戸は後ろから近づいた岳人とジローにつかまった。



「よぉ!宍戸!!」

「宍戸ー、こんなとこで何してんのー!?」

「(ヤバっ、こんなところでこんなやつらにつかまった…)よ、よぉ。」

「宍戸!今からどっか遊びに行かねー!!?」

「いや、その、俺今日忙しいから。」

「えー!!宍戸んちいーきーたーいー!!」

「だめだっつーの!!!」






「お前らこんな所で何やってんだ?」

「休日の朝からわざわざ宍戸ナンパして何するん?」

「「跡部!忍足!」」

「(ギクッ…)」

「それとも宍戸が2人のお守りやったりしてな!…って、ん?自分何買ったん?」

「いや、これは、別に…」

「アーン?怪しいなぁ…ペットボトル2本…か」

「自分のと…誰かのやっちゅーことやなぁ…」

「ああ、あ、兄貴に頼まれてさ…」

「ペットボトルに菓子っつったら誰かんち行く前の定番だよな?」

「なーー!!」

「知らねーよ!俺は帰るぜ!!」

「まぁええけどな。宍戸んち電話しよったらきっとおばさんか兄貴が教えてくれるで。」

「・・・・」



「オマエに逃げ場はねーって事だよ。ハッハッハッハッハ!!」





――――


「っつーかんじで…」

「あんたバカじゃないの…?今時コンビニなんて何処だって同じもの売ってるよ。そこのコンビニだってルーズリーフは売ってる」


「ハハハ!バカじゃねぇの宍戸!!」

「向日先輩、いくら宍戸さんが世間知らずでもそこまで…」

「長太郎テメェ、何が言いてぇ…」

「え、いやその…」

「はぁー…。んで、長太郎はどーしたのよ。」

「いや俺はミーティングが唯厨先輩の家であるってきいて…」

「誰から?」

「さっきね、俺がメールしたの。そしたら長太郎一瞬で飛んで来たからエスパーかと思っちゃったよ」

「はぁ…。とにかくね、今日は遊びに来てもらってるわけじゃないんだからとりあえず帰っ…」





「唯厨ー!まだそんなところで亮ちゃんと立ち話してるのー?早く上がってもらいなさい」


唯厨の母さんが玄関に現れた。



「「「「「こんにちはー」」」」」

「あらやだ、亮ちゃんだけじゃなかったの!?キャー素っぴんなのに!ちょっとまっててね!!」

「お母さん、お化粧なんかなさらなくても充分お綺麗ですよ(キラーン)」

「え、そ、そうかしら…」

「唯厨のおふくろさんがこないな若いなんて知らんかったわー」

「あら、いやだわ、若いだなんて…」

「唯厨さんにはいつもお世話になってます、跡部景吾です」

「忍足侑士いいます。よろしゅうに。」

「あらこちらこそー」

「二年の鳳長太郎といいます。唯厨先輩に本当にいつも優しくしていただいてます。」

「あら、二年生なの?大きいわねー!」



「ちょっとお母さん!!?」

「ごめんなさいね、唯厨ったらなってなくて。さ、みなさんあがってくださいー」

「「「おじゃましまーす。」」」



「んもう、唯厨!あんなかっこいい子達と友だちならもっと早くうちにお呼びしなさいよ」

「はぁっ!?」

「モチロン亮ちゃんもかっこいいけど、あの跡部くんなんて素敵じゃない?」

「何処が…」

「でもあの二年生の子も背が高くてかっこいいわよねー。年下の男ってのもいいわよー」

「あのねー…」

「あーん、お母さんどの子が息子になってもうれしーわぁ!唯厨の結婚まであと何年かしら。楽しみだわー!」

「お母さん!?!?」


……忘れてたぜ。

俺の家族もあんなんばっかだけど、

唯厨の家族もこんなんばっかりなんだよな…

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