short stories

□罪と罰
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「幸村!今日の部活、早退させてください!」


「いいけど…どうしたの急に」


「どうしても外せない家庭の事情が…!」


「わかったよ。じゃあ抜けるときに声かけるんだよ」






やった!案外あっさり承諾してくれた!


さすがの幸村も、家庭の事情とあっては深くは聞けないよね!


ああ。早く部活終わらないかな!楽しみ〜!










ついに今日、私はかねてから実行しようと思っていたこの時を迎えた。


家庭の事情で早退?ウソウソ。私にそんな複雑な家庭事情があると思って?すべては私の計画のうち。


私は予告通り部活終了前に帰り支度をすると、一度帰宅するそぶりを見せ、裏口からまた部室へと戻った。


そして、部室の端にある、唯一使われていないロッカーに身を隠す。









身を隠して数分後、部活が終わったのか、みんなが部室へと帰ってくる。


「うあ〜あっちぃ!今日もつかれたー!!」


お、赤也だ。そういや、今日また居残り遅刻して真田にランニングさせられてたな。ご苦労様です。


「この程度で暑いなどとは、たるんどる!」


「まあまあ、部活も終わったんじゃき、そうおこらんといてやれよ」


真田に、仁王。うんうん。


「それにしても、もう夏ですね。めっきり暑くなりました…」


柳生!ああ、彼にだけはすごく罪悪感を感じる…!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。



柳生に対して合掌して心の中で詫びていると、また部室のドアが開いた。


最後に入ってきたのは蓮二だ。




「精市」


部室に入るなり、蓮二は幸村のもとへ。



「何?」


「途中から唯厨の姿が見えなくなったようだが…」



蓮二!やっぱり私がいないことに最初に気づいてくれるのは蓮二だと思ってた!


やばい、ちょっと感動…



「ああ、あの役立たずね。家庭の事情なんて見え見えのウソついてたから、面倒だから帰したよ。」



ゆ、幸村さん…?



「そうか。大方そんなことではないかと思っていた。」


「明日の練習も、楽しみだよね〜」




お花飛んでます。幸村さん。


明日の部活の時間のことは恐怖でしかないけど、でもとりあえず一番ばれそうな蓮二に「帰った」と思わせることができてホッとする。


ここでばれては、明日の私も浮かばれない。






なぜ、私がこんなリスクを背負いながらもこうして部室に隠れているのかと言えば、


まえまえから気になってた…、














蓮二のパンティーを物色するため!!!!!















え?変態?


痴女…?











いやいや。罪には問われませんて。















なんせ彼女ですから…!















罪に問われるとすれば、蓮二以外の部員のパンティーも同時にチェックしてしまうという点かな。












でも、そんなもの、蓮二のパンツに比べたら、グリコのおまけの価値にも満たないわ!


















―――というわけで、早速拝見いたしますよ!




まずは…仁王か!


私のイメージではやっぱりボクサーかな。しかもちょっと派手目の。蛍光ピンクとか、水玉とかの奇抜なね…!


果たして……!!!意外だ…!トランクス!?


確かに柄は派手目というか、ん?あれってプレイボーイのうさぎじゃん??


まあ仁王らしいけどね…。






次はブン太。


ブン太は……予想通り!淡色系のボクサー!


なんかお菓子のイメージだから、マカロンっぽいなとは思ってたんだよね。





お次は、柳生…。


見、見るべきか、見ざるべきか…!?


こんなチャンス二度とないけど、別にチャンスをものにしたいとか思ってないし、


でも、よく考えたら、柳生のパンツって、蓮二よりも希少価値高いかも!


きっと異性で見たことあるのはお母様ぐらいじゃないかな!?


ああああ、どうしよー…!


と思ってるうちにササっと脱いで、ササッと制服のズボンに履き替えた柳生。


パンツ一丁でうろうろしている仁王とは大違いだ。


ていうか男子しかいないのに、なんでそんなにそそくさと着替えるのよ。


まあ、柳生らしいっちゃらしいけど…恥ずかしいのかな?






次は、赤也と真田!


ちょっと、同時にチェックできるかな…!?


えええ、と赤也は…って、仁王邪魔だよ!!アンタは早く制服着なよ!風邪ひくよ、雅治!!


仁王のせいでちらっとしか見えなかったけど、ほとんど見えたようなもの。


だって赤也の…真っ赤なブーメランだったから…。


赤也…いくら赤が好きでも、それはないわ…って、おい。誰も突っ込まないのか!


もう慣れっこなのか!?ううむ。男子ってやっぱわかんないな。女子が真っ赤な下着つけてたら、女子同士でも動揺するのに。


隣の真田は…まさか、フン○シってことはないよね、さすがに。さすがに…


あ…普通のトランクスだ。チェックの。あーー、アレ、うちのお父さんもおんなじようなの履いてたなー。


全く同じ奴かもしれない…。これからお父さんのを畳むたびに真田のを思い出しそうでいやだなー…








残るは、幸村と蓮二!


って、幸村……!!????


い、いつの間に!!?あれ?さっきまでジャージ来てたよね???


一瞬目を離したすきに、もう制服に…!?  さすが、神の子…。


着替えも神通力なのかな。きっとそうなんだ…そうだとしか言いようがない!


しかし逃したなー!!!蓮二の次に見たかったのにな。


でもまあ、仕方がない。







さあて…。お待ちかねのメインディッシュ。私のかわいい蓮二くんの番だよ!


やばい。唾出てきた。ドキドキドキドキ……


私の予想では、絶対・無地のトランクスなんだよね。


だって蓮二ってさ、いつもさわやかで涼しそうっていうかさ。


なんか、そこらへんのデリケートなところも風通しよさそうじゃん。


しかも蓮二足細いからさ。裾とかすごい空いてる気がするの。もうユニフォームか!っていうぐらいぴらぴら〜って。






蓮二が上のテニスウェアを脱ぐ。


程よく筋肉のついた、しなやかな体と白い肌が神々しい。


上半身裸のまま、蓮二は何やら鞄をごそごそとした。ん?手に持ってるのは…汗ふきシート!!?蓮二らしくない、現代的なものが…!


え、まさかまさか…!ギャー――!!!体をふき始めたー!やらしーーー!


いやいやいやいや、CMかよっていうくらい、かっこいやらしい!


首、鎖骨、胸、わき腹、腕…拭く箇所によって、首を傾げたり体をよじったりする姿が愛らしすぎる。





「参謀は、几帳面じゃのぉ」



一生懸命に身体を拭く蓮二に対して仁王が続けた。



「今日は唯厨がおらんというのに。」


「ああ、そうだったな。すっかり習慣になってしまっている。」




え?何、どういうこと?




「唯厨なら参謀の汗の匂いでさえも好き、とか言いそうじゃがな。」


「はは。いくらなんでもそれは言い過ぎだろう。それに体臭は自分では気が付きにくい。気を付けなければな」




私の…ため?


練習終わりに、私と帰るから、そのためだけに蓮二らしくもない汗拭きシートを…?







今日は蓮二に泣かされっぱなしだなあ…って感動してる場合じゃない!


蓮二は体を拭き終えると、ユニフォームの下に手をかけた。さあ!







私はあまりの衝撃に、目を見開いた。


黒の……



















ぐはあっ!


















蓮二くんのK.O勝ちです。


惨敗しました。聞いてません、黒のぴっちぴちのボクサーなんて。


しかもなんていうのあの素材!綿じゃないよ、なんかてろってしてるもん、光沢感あるもん!!!


なんていやらしいものつけてるの、蓮二!お母さん、そんなもの買った覚えはないわよ!!!←


なんか予想外の下着に呆然としてる。ああ、どうしよう。明日から蓮二の顔みるたびに、


黒のてろってろしか頭に浮かんでこないよ…。







一人、狭いロッカーの中で呆然としていると、次々と部室を後にする部員たち。


すると、真田が蓮二に声を掛けた。




「蓮二、帰らんのか」


「ああ、弦一郎。データの整理をしておこうと思ってな」


「そうか。ならば、戸締りは頼んでしまってもかまわんか?」


「ああ。問題ない。」


「では。」


「ああ、また明日。」






一人残った蓮二は、真田が出て行ったのを確認すると、すっと立ち上がって荷物をまとめ始めた。


あれ?データ整理は?


と思っていると、突然目の前が明るくなった。








「白地にピンクの刺繍の確立、85%」







へ?



ロッカーのドアが開けられたのだ。


目の前に蓮二の顔が。お、おおおおお!ばれた!!!


ばれたけど、怒ってる?笑ってる???どっち!!怖いよ蓮二!逆光だよ!!










「フッ。お前がこれほどまでに欲求不満だったとはな。」











私は蓮二にひっぱりだされて、閉めたロッカーに押し付けられる。










「初めてが部室というのも、悪くはないな」









どうやら、私の犯した罪は、全身全霊をもって償わなければ許してもらえなさそうです。





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