その他 読切
□死神〜その花嫁〜
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十歳頃、アルルは予知夢を見るようになった。子牛が産まれる。嵐が来る。豊作になる。予知夢はことごとく当たった。
輝くような金色の髪にはっきりとした顔立ち――八年後、アルルは美しく成長し、村中に頼りにされるようになっていた。
今日はそんなアルルの十八回目の誕生日だ。
「誕生日おめでとう。アルル」
「ありがとう!アースも退院おめでとう」
「ああ」
アルルの隣で青年が目を細めた。アースことアーサーは一つ年上の幼なじみである。色素の薄い短髪で、背はあまり高くない。
アーサーは昔から体が弱く、この間まで隣の都市にあるサジカの病院に入っていた。
一月前に退院してからというもの、まるで別人のように良く笑う。最近はそんなアーサーを、アルルは頼もしく思っていた。
アルルはアースという愛称で呼んでいる。