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□巡り会い、愛
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いつもなら、こんなことは起こらなかった。

今日は、トムさんに休みをもらって池袋の町をブラブラと歩いていた。
「くせぇ、ノミ蟲くせぇ。」
と呟いていたが、以外と心地いいなどとも考える。
イライラしながらも、歩き続けると匂いの元が現れた。
「いーーざーーやー!何でテメェが袋に居やがるんだ!」
「やぁ、静ちゃん。俺は今日は新羅に用があったんだよ。」
「は?なんかあったのか?」
「心配してくれてるの?ありがとう、でも君が今ここから消えれば俺は大丈夫!」
「心配なんてしてねぇ!///」
「ハハッ、まぁいいや。俺今日は疲れたからパスするよ。」
「黙れ!」
そう叫んで、自販機を臨也に投げつけた。
でも、いつものようにかわされてしまった。
腹がたったので、近くにあった標識をつかみとり、臨也に投げた。
・・・次の瞬間、臨也の頭にそれが当たり臨也は倒れてしまった。
「?臨也?・・・おいっ!臨也!」
「・・・・・・」
臨也はずっと無言だった。
訳がわからなくなり、とりあえず新羅に電話をして、臨也を新羅の家まで運んだ。
ーーー「一体何があったんだい?」
「後で説明する!それより、アイツは!?」
「・・・意識不明、だね。」
「意識不明・・・」
「そう落ち込まれると嘘つけなくなっちゃうよ。」
新羅はそう呟いたあと、「ごめんね、臨也。」と言った。
ーーーなんで新羅が謝るんだ?悪いのは俺なんだ。 わるいのはおれなんだ。 ワ ル イ ノ ハ オ レ・・・・・・
・・・そして、数日後臨也は死んだ。
新羅から連絡があった。
『うちに来てほしい』って。
新羅の家についた。
「あっ、静雄!待ってたよ。」
「?何か用か?」
「言いたいことがあって、って言うか臨也に頼まれててさ。」
「?」
「実は臨也ね、仕事で大怪我して、それでこの間うちに来たんだけど、病気だったみたいだよ、臨也。ずっと昔から。バカだよね。早く来てくれればどうにかなったかもしれないのに・・・。それで、臨也から伝言。
『新羅から聞いたらわかると思うけど、オレが死んでも静ちゃんのせいじゃない。自業自得なんだ。あとね、最後だから甘えさせて。オレは、静ちゃんが好きだった、いや、死んだとしても好きだよ。この返事がオレの思い通りになってほしい。最後のお願いだよ。』
だってさ。」
紙に書いてあるメモを読み上げ顔をあげた新羅の目から涙がこぼれた。
「やっぱりさ、普通の友達だと思っていても、大切な人なんだよね。」
涙を救い、笑顔を見せた新羅。
「思い通りの返事・・・。オレの返事は・・・大っ嫌いだ。オレを置いてどこかにいっちまうお前なんて。なのになんでこんなに寂しいんだろうな。」
「それはきっと、大切な人だったんだよ。」
大切な人・・・。
いつも喧嘩を繰り返した人。
心地よかった香り。
「一つだけ、いいか?臨也はオレにじぶんを攻めるなって言ったけど・・・一つだけ。
素直になれなくてごめん。」
・・・一度も好きって言えなくてごめん。
「次は素直になるから、待っててくれ。」
きっと、また巡り会えるから。

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