ネタ帳

□青髪
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「なぁ、俺が左側に居させる女ってお前だけなんだぜ?」


知ってた?

後ろから片方の腕だけで抱き締められ、肩に顔を埋められた。

赤い髪が僅かに視界に入った。


「……あんた、子供みたいだな」


わしゃわしゃと赤を掻き回す。


今思い出したが、彼は左利きだった。


いくら仲間、というか友達のためとは言え、いきなり利き腕を失うのは結構しんどいだろう。

恐らく、この四皇だ赤髪だと言われる彼も、内心どうしようもない喪失感に晒されたのではないだろうか。勿論、表に出して表現することはなかったであろうが。


まるで、そのときの対価が今支払われているように、彼は孤独感に晒されているのかもしれない。


無意識の内に溢していた溜め息を、何を勘違いしたのか、珍しく感情が顕れた声を出した。


「お前が俺の前から消えるからだろ」


「ふふふ…。私が悪かったよ、かわいこちゃん」


「んー、酒飲みてぇ。酌しろ、船長命令な」


「駄目だ。私が居るのに酒なんかいらねぇだろ?疲れたから座りたい」


ストン、と膝を折って胡座をかいて座ると後ろにいたシャンクスも座り込み、今度は肩に顎を乗せる。


「船長とかつれないこと言うなよ。折角二人なんだから、さ」


反論しようとしたシャンクスの口に葡萄を放り込む。驚いたシャンクスが手元に目を遣ると何処から出したのか葡萄が一房弄ばれていた。そして自らも一粒を口にする。

「ん、美味しい」

「買って来たのか?」

「果物屋のオニイサンがおまけしてくれた」

ブイ、と口にしながら取り出すのは真っ赤な林檎。
林檎を買ったら葡萄もくれた、ということだろう。

「ったくたぶらかすなよ」

「嫌だな、私がたぶらかすのは海の男だけだよ。それに林檎買ったのだって無意識に赤を手に取ってただけだし」


お前の色だよ、シャンクス。


くつり、と言う彼女は優しく微笑んでいた。
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