短編
□コール一時間前
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※後半会話文+夢主:似非京都弁
廉造が正十字学園に行ってから数週間。
私は悩んでいた。
『なぁ、柔造さん。どう思う?』
「いや、どう思う言われても…」
4月の下旬、春も本格的になってきて夜も暖かくてすごしやすい時期になってきた。
かなり遅い気もするけれど私の入学祝いと言うことで家同士の仲のいい志摩家でご飯を御馳走になった後、よくモテるし、廉造のお兄さんな柔造さんに相談してみた。
祓魔師になる為に正十字学園に行った廉造のことで。
「心配せんでもこの時間やったらもう塾も終わってるから大丈夫やって」
『う…』
「柔兄に名前、何の話してはんの?」
『あ、金造さん』
「名前が廉造のことが心配なんやって」
ふーん。と言いながら畳に座りこんだ金造さんがちょっとにやりを笑いつつ口を開いた。
「廉造は愛されとるなー」
『あ、愛さっ!?!』
「ほんまやわ、廉造にはもったいな位やし」
「そうそう、まぁ、心配なんやったら電話してみ?」
金造さんが電話するように言った。でも電話ができれば苦労しない。用件も特にないし電話しても何話せばいいか分からない。うんと言うか電話ってちょっと苦手だ。それに今、夜だし出てくれなかったら空しい。でも心配だし…。
うんうんと考えていたら二人分の呆れたような溜息が聞こえた。
「名前、廉造なんかに変な気ィ使わんでえぇから」
「大丈夫やって、名前は廉造の彼女なんやから」
『うう…わかりました』
二人の視線に負けて、ポケットから携帯電話を取り出して廉造の電話番号を探す。
【志摩廉造】と書かれた番号を押して、一息ついて通話ボタンを押そうとした時、軽快な音の自分の着メロが鳴り出した。
うわっ!と驚きながらかけてきた人物の名前をみると志摩廉造の文字。
『廉造?!』
「あいつ、タイミングえぇわー」
「じゃあな」
とか言いつつ立ち上がって部屋を出て行った二人に取り残された私は電話が切れないうちに通話ボタンを押した。
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