短編

□それは狂気の…
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「もうサッカーのような激しい運動はできません」



宣告された時はショックでショックで雷門中の校舎を壊した宇宙人たちを心底恨んだ。
歩ける様にはなるけれどサッカーができない。一番好きだったものを取り上げられた。

テレビで見たサッカーに復讐心のあったおじさんのわがままのせいで僕のサッカーはなくなった。

悲しかった。悔しかった。憎らしかった。赦せなかった。そして何で僕がまだ校舎内に居た時に校舎が壊されたのか理解できなかった。辛かった。


そして何より




円堂達とまたサッカーしようって約束したのに果たせなくて泣きたかった。




それでも円堂やみんなが宇宙人を倒して帰ってくるって聞いたから渋る母さんに頼み込んで、皆が帰ってくる雷門中まで連れて行ってもらった。
車いすに乗ってグラウンドに行けば、円堂や豪炎寺、鬼道を筆頭にしたテレビで見た稲妻キャラバンの人たちとおかしなユニフォームを着ていつものポニーテールを解いた風丸に半田、染岡を筆頭にしたサッカー部の皆がいた。

ダークエンペラーズと名乗った風丸が円堂に向かって、力が一番大切だと力説していたみたいだったけれど詳しい内容は分からなかった。否、頭の中に入ってこなかった。
そして同時にその力を持つことも許されなくなった僕は何なんだと思った。

後ろで見ていた母さんが制止する声を無視して、最近やっと歩けるようになった足でふらふらとグラウンドの中に向かう。

「名前!?どうした!!」

円堂が驚いて声を上げ、肩を貸しに駆け寄ってきた。
動けずに目を見開いている皆を無言で一瞥しする。
でも僕の頭の中は何か真黒なものに包まれて抑えが利かなくなっていた。




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