短編

□南沢くん!
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インターフォンを押すとよく耳にするピンポーンという音のあとに「ふぁーい」と気の抜けた声が聞こえてきた。
数秒後、玄関のドアからショートパンツにキャミソールと言う格好の名前が出てきた。

「…とりあえず上になんか着てから来いよ」

呆れつつ着ていた上着を脱いで投げ渡せば、すっぽりと名前は手の中にでキャッチした。

『おぉ!優しいじゃん!』

顔だけじゃなくて心もイケメンですか。コノヤロー。何て言う名前に「うるせぇよ。そんで早く入れろ」といって玄関を通過する何度も訪れた家の廊下を我が物顔で通り、リビングに続く扉を開けた。

『君ちょっと私ん家に慣れ過ぎじゃないか?』
 
あとから追いかけてきた名前が少し苦笑いで話す。つうかそこでちゃっかり俺の上着、着てるのかよ。年下の俺は眼中にないとかそういうことか。

『麦茶淹れてくるからその辺座っといてよー』
「分かってる」
いつものようにリビングのソファに腰掛けてお茶が来るのを待てば、コップにお茶を入れて名前が戻ってきた。
テーブルにおれの分のコップを置くといそいそと座り、自分はお茶を一口飲む。

『で、南沢君、今日は何を質問に来たのかな?』

意外にも名前は結構いいところの進学校に通っている。「まぐれだよ」と受かった時に行っていたけど普通に頭はいい。今年受験な俺はたまにこうして近所に住んでいるこいつに勉強を教えてもらう。

「高校ってどんな感じ?」
『んーだるい』
「だるいってなんだよ」
心底面倒くさそうにテーブルの上に手を投げ出してうなだれた名前は一緒に出してきた一口サイズのチョコを包みから出して口に放り込む。
『課題面倒だし勉強速度はやいし先生うるさいし出席日数のためにもあんまり休めないし…』
「入学して数カ月しか経ってねぇだろ?」
『だねー。でもまぁ、楽しいよ』

友達とか面白いし。なんて笑う名前が俺の知らない顔するから少しだけむかっとする。ひとつ年上のこいつは俺に対して弟扱いをしてくる。
「彼氏とかいないわけ?」
『失礼な奴だな。いないけど』
「可哀想だな」
『う・る・さ・い』
今度は名前が不機嫌になって反対に『いない』と聞いた俺の機嫌が良くなる。我ながら名前に関しては単純な思考回路だと思う。
後輩がこの光景を見たら「あの南沢先輩が…」と絶対にツッコまれそうだ。

「あと一年か…」
あと一年して同じ高校入ったら、名前に絶対俺のことを一人の異性だって意識させてやる。
感慨深く呟けば首をかしげている名前。
『何が?』
「何でもねぇよ」
『今日の篤志君は一段と良く分からないねーお姉さんに早くデレ期を見せてくれよー』

ばたばたとテーブルを叩いてごねる名前の頭を小突いて、教科書を広げた。

質問ですか?南沢くん!

(とりあえず、英語)
(よしきた。まかせろ)
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プレイボーイ(イメージ)南沢先輩が実は片思いしてて一途だったら萌えると言うだけです

というか南沢よりむしろ誰か管理人に数学を教えてください←
 

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