短編
□くらくら
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ただの風邪だからと思ってちょっと甘く見ていたのかもしれない。
朝、少しの微熱くらい大丈夫だろうと気にせず学校に登校すると、1時間目、2時間目…と授業を受けているうちに熱が上がってきた。
「名前、大丈夫か?」
昼休みになって食べる気の起きないお弁当を少しだけ口にして心配する友達に断って保健室に行こうと教室を出たところで霧野君に出会った。
『今から保健室に行こうと思って』
「熱あるし、フラフラしてるのに一人でか?」
『?うん…迷惑かけるし』
熱があってしんどいのか少し呼吸が荒くなってくる。これはさすがにやばいかもしれないと思って、それじゃあ。と保健室に向かおうとしたとき何かを考えていた霧野君が口を開いた。
「はぁ…仕方ない」
『…?』
やれやれと言うようにつぶやいた霧野君を見る。
「おぶってやる」
『え?』
「保健室までおんぶで連れて行ってやるから」
そんなことしなくても大丈夫だよ。とか重たいからいいよ。と何か理由をつけて断ろうと思ったけれどあまりにも霧野君が真剣な顔をしていたのと、熱が上がったせいで思考がうまく回っていなかったからか頷いてしまった、
『大丈夫?』
「何が?」
『重くない?』
中学生にもなっておんぶされるのは恥ずかしいだろうと気を使ってくれたのか霧野君は普段あまり人が通らない廊下を通って保健室まで歩く。遠回りになる距離を人を背負って歩くのは大変だろうと思って聞いたら少しむっとした表情で霧野君が言った。
「…俺は女ってよく間違われるけど、サッカー部だしそれに男だから、お前ひとりおんぶするくらい全然余裕なんだよ」
『……でも』
申し訳なさから降りるよ。と言おうとするとそうはさせまいと霧野君が言葉を続ける。
「そういう変な心配はいいから、早く風邪治すようにちゃんと休め」
『…うん』
疲れてしまった目を閉じたとき、さっきより少しだけぎゅうっと霧野君の背中にくっついた。
やさしい人
((早く元気になってくれよ))
―――――――
霧野の口調分からん(´д`;)