短編
□甘美な香り
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名前の部屋。
ソファに腰かけて本を読んでいる名前を向かい側から観察する。
「名前」
『んー?』
「イエ、呼んでみただけです」
『あ、そう…』
声を掛けてみても、生返事で本から目を話そうとする素振りはない。
静かな静寂とふんわりと甘い匂いに部屋が包まれる。甘い匂いは名前の香りです。
「名前ー」
『何?』
「暇です」
『そっかーちょっと待っててー』
そう言って、本ばっかり読んでボクを見てくれないなんてイヤです。
「………」
本を読み終えたらしい頃合いを見計らって名前の隣に座った。
「名前」
ぎゅーっと抱き着けば、強くなった甘い匂いと本を閉じて目を丸くする名前。
…カワイイです。
『………は?』
「名前、好きです」
甘美な香り
(ア、アマイモン!?)
(なのでかじらせてください)
(オイ、ちょっとまて)