短編

□マイナスからですが
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昼休み日直の仕事を終えて教室に戻ると一緒に御飯を食べる友達が先に弁当を食べたのかジュースを飲みながら「金造君がさー」と言いだした。

『金造?』
「うん、金造君」

金造と言う名は私のクラスにはいなかったはずだとうろ覚えで自信のないクラスメイトの名前を思い出すが、そんな名前は思い浮かばない。

『…誰?』
私が弁当のおかずを頬張りながら聞くと、目の前の友達は呆れた顔をして
「…馬鹿」
と言い、私の頭をぽかりと叩いた。

『…ぅ!』

それほど痛くはないが反射的に「痛っ」と言えば、今度はため息をつかれた。

「志摩、志摩金造君。去年同じクラスだったでしょ?」
『あー金髪の子か!』

"金造君"のフルネームになるほどと声をあげると「金髪の子って…」とその子は頬をひきつらせた。

『で、その子がどうしたのさ?』

ぽけっと話題に上がった合点がいかず問いかけると「放課後あんたに中庭に来てほしいんだって」とがっくりした様子で伝えられた。

それを聞いた私は志摩君とは去年ほとんど会話らしい会話もしたことがないのになぜ呼ばれたんだ。とはてなを飛ばした。
それから意外と広い中庭の何処だよ。と思った。


##


授業もHRも終わり後は帰るだけとなった私は帰ろうとして「名前、中庭行きなよ!」と声をかけられてはっと金造君からの呼び出しの件を思い出し、適当に友達に返してから中庭に向かうことにする。


中庭にはまだ人が誰も居なく閑散としていた。
金造君居ないのかよ。と思いつつ今日はHRが早かったしねー。と反対側から来なければ比較的見つけやすい噴水の前のベンチに腰掛け、本を読んで時間を潰すことにし、かばんの中に入った小説を読み始めた。




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