irregular
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さて、イプシロン降臨だけども、私にしたらツンツンのデレなんか一μもないと思っていた風介のデレに驚きを隠せませんよ。
ほんの少しだけどキュンときたからね。だって仮にも私女子だもの。不覚にもキュン!ってきましたよ。
と、思考が迷子になっている間にデザームがレーゼ達に黒いサッカーボールを蹴りだそうとしている、だと?うわぁぁ!!治さんスットプ!それ蹴っちゃ駄目ぇええ!!
デザームがボールを蹴るのと同時に走り、レーゼの前に飛び出してボールを思いっきり真上に蹴り上げる。空高く上がったボールは一瞬光った後、ぽとりと地面に落ちた。危ねぇ…。
『久しぶりだね、デザーム』
素晴らしきポーカーフェイスで驚くイプシロンの面々を見ていたら、風介が前に出てきてさっき私の蹴り上げたボールを拾いあげた。
「ガゼル様にグラン様…何故あなた方が此処に!?」
「そうだな…今から少し話さないか?聞きたいこともたくさんあるからね」
そうやって風介が少しずつ私とジェミニストームの面々から視線が外れるように歩き出す。少しずつ私たちから外れている視線を感じて、レーゼ達にだけ聞こえる声で話す。
『レーゼそれに皆も僕が今から3つ数えたら全速力で走って』
「え、名無何言ってるの?」
一瞬だけ素になったレーゼが聞き返してくるし他のみんなも意味が分からない様だけどけど今は説明するじかんがない。
『…3、2』
答える気がないのを察したのか座り込んでいたメンバーがあわてて立ち上がる。
じゃあ、僕について来てね。と振り返ってからレーゼの手をつかんで走り出した。
『…1!!』
『はぁ…(一応切り抜けた)』
多人数が動くとなるとやっぱり気付かれるけどなんか(普通の)サッカーボールが彼らに向けて吹っ飛んでくのが見えたし、その辺は風介がうまく足止めしてくれたらしい。
荒くなった息を整えるレーゼ達を見てから、私はあたりを見回す。
まだ白恋中の近くだけど、林の中を突っ切ってきたからちゃんと"待ち合わせ場所"に着いたか不安だ。
辺りに車が見えないのに場所を間違えたか?と思ったとき、車のエンジン音が聞こえた。
『鬼瓦さん!』
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