シリーズ
□伊達家の場合
1ページ/3ページ
「そこでさ、振り替えると長い髪の女が…『うわあああああ!!!!!!!』な、何だ?!」
『な、なにも聞こえないぃ!!わーわー。ハッ…う、後ろとかにい、居ないよね…よかった…』
「奥方様?」
「姐さん、怖かったっスか?」
『はっ!…こ、怖くなかったです。』
昼、鍛練が終わった成実さんや家臣のみなさんと休憩の合間に座談会をすることになった。
嫁いできて、三ヶ月…。
前世、想像していた戦国時代と勝手が若干違っていて(敬語だけど家臣の人と世間話出来たりとか)、家臣のみなさんと少しでも仲良くなろうと座談会に参加したら何故か怪談噺に発展した。
前から怖いものが苦手だった私はリアルに髪の長いあの井戸からでてくる●子さんを想像して一人でかなりビビってしまった。
それがお昼の出来事。
『怖くて寝れない…』
昼、あんな話を聞いたからか、布団に入ってから多分体内一時間くらい(時計がないから時間が分からない)ずっと眠れなくなってしまった。
目を瞑ると怖い幽霊を想像してしまうし、かと言って起きて何かしようにも電気じゃなく蝋燭、逆に怖い。
さっきから布団なのかで何度も寝がえりをうって後ろに何かいないか気にしてばかりだ。
ガタッ
『ヒッ!』
寝転ぶ向きを変えた直後に後ろで物音がした。
ネズミとかだったのかもしれないけれど今日の私にとったらどんなものも恐怖材料にしかならなかった。
布団を頭まで被って、その中で小さく縮こまる。
ギュッと目を瞑っているといつの間にか眠ってしまうから早く眠気が来ることを切実に願った。
のに、
ススーッと襖が擦れる音が聞こえた。
(うわああああ!!どうしよう本当にお化け?!)
何事無いように布団の中で切実に願っていると入ってきたものの気配は私の前でピタリと止まった。
・