長め

□最初の若草
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山の恵みもといそこらへんに実っていた果物を腕いっぱいに持って、自由気ままな現在のマイホームへ向けて歩く。

木洩れ日の中、明らかなけもの道を通っていると子供が倒れていた。


「……なぜに?!」

住んでいる自分で言うのもなんだが、この森は麓の人間でも立ち入ることが少ない危険な所だ。クマとかくまとか熊とかな意味で。
あの熊を餌付けするのはほかの動物よりも骨が折れた私が言うのだから間違いない。

猟師ならともかく普通の子供、ましてや丸腰の人間がけもの道の真ん中で倒れいるのは現状かなり雰囲気から浮いている。

唯一つ浮いていなかったのは子供の若草色の着物くらいかと思ったがよく見たらかなり上質なものだったのでやっぱり全体的に子供は浮いていた。

一寸も動かないので、死んでいるのかと思い恐る恐る近づき、肩の辺りをつついてみると微かに子供は動いた。

「生きてるのか…よかった。家帰る前に死体とか見たら気分的に凹むわー」

ほっと一息ついていると私の様子がおかしかったのか、山にいた狐、狸や兎そして熊までが周囲に集まっていた。

「おぉ!クマ次郎ちょうどよかった」

ちょいちょいと手まねきをすると近寄ってきたクマ次郎にうんうんと頷きつつ、子供をクマ次郎の背中に乗せ、自分もその背に乗った。

「家までよろしく!」

分かったと言うように前を見て歩きだしたクマを笑い、私は家路を急いだ。

(さながらもののけ姫のようだぜー!!)


最初は若草

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