保存用-狭霧
□実験A
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彼は仕事が大好きだ。
というか、片思い中である自分が書類に嫉妬したくなる程度にはワーカホリックである。
そんな彼は甘いものが得意ではない。
「・・・仕事中毒ならせめて糖分摂取しないと駄目よ」
呟きは聞こえたのか聞こえていなかったのか無視される。
そうだ、実験をしてみよう。
茶色の小さな丸い固体を一つ持って静かに彼に近付く。
机の上の処理済の書類をよく見ると、期限が今日明日までのものは既に終わっていた。
「・・・」
一応彼女ではないが友人ではある。そして押しかけたのは仕事風景を見にくる為でなく構って欲しかったからだ。明日までのものが終わっているなら、相手をしてほしいと思うのは我儘なのだろうか。
「グリーン」
沈黙を決め込む彼の口の中に持っていた固体(チョコレート)を突っ込んだ。
「!?」
「仕事ばっかやっててバッテリー切れたらどうするのよ?糖分得意じゃないかもだけどちゃんととりなさい」
「・・・?」
若干顔が青褪めているのは気の所為だと思いたかったが。
「・・・これ・・・」
「?何か?」
チョコに関しては失敗したことがなかったので偉そうな態度を貫ける。
「・・・まさか、何か入れてないだろうな・・・?」
前科があり過ぎる自覚はある。
それでも、
「・・・実は惚れ薬を少し」
信頼の無さに落胆した。
「!?」
勿論冗談に決まっている。
「やぁね真に受けないでよ。そんな薬持ってたら今頃グリーン私にベタ惚れよ?」
「・・・いつかやるかと思っていたが・・・」
「人の話を聞きなさい」
このツッコミをするのはあんたでしょうが!!
「・・・ブルー」
まずいかもしれない。
目が据わっている。
「だ・・・だから冗談だって言って――」
「・・・俺はずっとお前のことが・・・」
何なんだろうこのベタな展開。
というか。
「待ちなさいグリーン!!あたし本気で入れてないわよ!?」
「ブルー・・・」
一瞬無意識下で入れたかと疑った。
いやそんなわけはと思うがグリーンのこの様子を見る限り自信がなくなってくる。
「あの・・・大丈夫?」
流石に色々心配になり、床に蹲ったグリーンの肩に手をかけ、顔を覗き込んだ。
油断した。完全に油断だった。
「捕まえた」
手首を掴まれニヤリと笑う顔に何故かとてつもなく寒気が走り。
「触るんじゃないわよグリーンの皮被ったケダモノ――――ッ!!!」
脳天に全力で蹴りをお見舞いしてやった。
実験結果。
嘘は吐くものじゃない。
「グ、グリーン相手に身の危険感じると思わなかったわ・・・」
学んだこと。
グリーンに惚れ薬は厳禁。(今回の件に関しては私は潔白だからね!?)
感想。
一週間は距離を置こう。若干色々ショックだったから。
実験結果。
まさかのケダモノ呼ばわり。
学んだこと。
からかい過ぎは良くない。
「・・・慣れないことはするもんじゃないな・・・」
感想。
この後一週間は近付いてくれなさそうだ。
緑→←青って感じですねハイ
グリーン何があった・・・
色々すいません・・・
狭霧