保存用-狭霧
□嫌い
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自分が彼を本当に愛しているのか分からなくなった
彼が自分を本当に愛しているのか分からなくなった
だから、言った
「嫌い」
放っておかれるのは好きじゃなかった。なのに、今はそれを良いとも悪いとも思わない自分が居る。
連絡が無いと訳も分からず不安になった。なのに1ヵ月声を聞いていなくても何とも思わない自分が居る。
元々飽き易い正確である自覚はあった。しかし恋人にまでそれが適用されるのはいかがなものか。
彼が1ヵ月前からずっと旅をしていて、明日帰って来るのを知ったのは友人に教えられてからだった。
「え・・・?知らなかったって・・・」
「グリーンからは何も言ってこなかったわよ?音沙汰無いとは思ってたけど」
“愛”の反対は“無関心”だとよく言う。
「ここ1ヵ月くらい話してなかったし、それも当然といえば当然ね」
緋色の目を大きく見開いて、私を信じられないと言った目で見つめてきた。
「・・・それで平気なのか・・・?」
普通なら平気じゃない。それは知っている。
「えぇ。どうしてかしらね」
「・・・お前、グリーンのこと」
「好き・・・だと思うんだけど」
分からなくなっちゃった。
笑う自分とは裏腹に、向かい側の緋は泣きそうになっている。
「何であんたが泣きそうなのよレッド」
呆れと溜息を混ぜて言うと、拳を握り締めてレッドは言った。
「だって、お前顔に出てないけど辛そうだ」
今度は自分が目を見開く番だった。
それと同時に、開くはずの無いドアがガチャリと音を立てた。