保存用-狭霧
□T
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人気の無い森の中。
一人の身なりの良い青年が馬を使わず自分の足で歩いていた。
この森には魔女が居る。
だから、誰も近付かない。
彼はその魔女に用事があった。
入って初めて気付く。
この森には植物が豊富だ。
野生ポケモンも多い。
建物さえあれば人が生きていけそうな森だ。
彼はその緑の目を辺りにめぐらせた。
この森に入ってから既に3時間は経っている。
それなのに魔女が住んでいるらしき建物は見付からない。
とにかく疲れた。
「・・・眠い」
本能のまま土に倒れ込む。
柔らかいそれは陽の光を浴びていないはずなのに温かかった。
「あら?珍しいお客さんね」
亜麻色の髪を風に遊ばせながら首を傾げる美女。
「ポケモン持ってるのね・・・あ、サイドンで良いわ」
ボールから出してやると、主人を守ろうとするかのように身構えた。
「大丈夫よ。あたしはあんたのご主人を助けたいだけ。疲れてるみたいだから家で休ませてあげたいんだけど、ここからじゃ少し遠いのよ。ご主人とあたし、背中に乗せてくれないかしら?家まで案内するわ」
初めは警戒していたが、少しするとこちらに背を向けてきた。
「ありがとう」
野生ポケモン達に力を借り、男を乗せると自分もサイドンの背に乗る。
「木を倒さないように気を付けてね」
そうして彼らは森の奥へ消えていった―――
To be continued...