保存用-狭霧
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「あんたは?」
テーブルで魔女が焼いた菓子を食べながら一息ついていると、コーヒーを差し出しながら魔女が訊いてきた。
「あんたは誰よ?こんな森に来るなんて何の用かしら?・・・あたしの記憶違いじゃなければあんた王族の者でしょ」
「・・・何故だ?」
胸元のペンダントを指差す。
「そのジェイド。貴重な幸運の守り石・・・この国の王族の装飾品として有名だわ。森に引きこもっているからって何も知らないと思ったら大間違いよ」
コーヒーを一口飲んで、口を開いた。
「確かに俺はこの国の王子だ」
「じゃあどうしてこの森に来たの?」
「・・・お前に用があったんだ、魔女」
澄んだ青が見開かれる。
「あたしに?」
頷くと、信じられないと言った様子で眉を顰めた。
「何の用よ?」
「ほとぼりが冷めるまで俺をここに住まわせて欲しい」
「・・・・・・は?」
To be continued...