銀月短編集
□男は黒スーツ一枚あればどんな場所でもなんとかなる
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彼女は先程と変わらずキーボードのキーを打ち続けている
どうやら銀時の話を聞く気は全くないようだ
その様子に銀時はしゃーねーなとばかりにため息をつくと、懐から小さな箱を取り出し、
月詠の前に置いた
「あんたに届けもん」
月詠は無言でキーボードを叩く手を止めると、その小さな箱を見てハッと小さく息を飲んだ
「ぬし…コレをどこで手に入れた?」
女性はやっと目線を銀時に向けた
「知らねーよ
俺はババアに頼まれただけだ
断られたらコレ渡せってな」
「そうか…」
そう言うと女性は箱を見つめなんだか考えこんでいる
銀時はあらためて女性を観察してみた
大会社の社長だというからてっきり男だと思っていた
たとえ女であっても年齢がだいぶ上で、金があるがゆえに美容整形が生きがいみたいな人物だろうと
しかし目の前にいるのはどうみても二十代のアップにした金髪がよく似合う若い女性である
顔に傷があるがそんなことはまったくマイナスにならないような美人
身をつつんでいるスーツの内側のブラウスは少しサイズが小さいのではと疑う程たわわに実った胸を強調しており
スカートの下に伸びる美しい足は
思わず足を組み替える時には正面に居たいなどと考えてしまう
きっちり三分程立っただろうか
銀時が決してゴールデンタイムに放送出来ないようなことを考えていると
「分かった」
女性は口を開いた