銀月短編集

□甘いの?しょっぱいの?どっちが好み?
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やっぱり帰ろうか…?


月詠は万事屋の玄関前で呼び鈴を押すことを躊躇っていた


手には大きめの包みを持っている


ハァ…


月詠が三回目の溜め息を吐き終わると同時にドアが開いた


「お前さっきから何やってんの?」


ドアを開けたのは銀時だった


「ぎっ−−!」


「んな驚くなよ
つーか何か用か?」


ポリポリと頭をかきながら月詠に問う


銀時の呑気な顔を見てやっと緊張が取れる


「ああ、ちと頼みがあってな入ってもよいか?」


「月詠さんじゃないですか?どうしたんですか?ホラ銀さんそんなとこに突っ立ってたら月詠さん入れませんよ?」

新八がパタパタと出てきた


月詠は初めて万事屋へと入った
通されたソファーへと座る


「割と綺麗にしてあるんじゃな」


「てめー馬鹿にすんじゃねーよ俺割と綺麗好きだから」


「何いってるんですか銀さん!いつもやりっぱなしで片付けるの結構大変なんですよ!」


「ソウネ!銀ちゃんいっーつもジャンプとかそのままほったらかしアル」


「そんなこといって一番散らかすのは神楽ちゃんじゃないか…ってそれより月詠さん今日はどうしたんですか?」


万事屋のやり
取りを微笑ましい気持ちで見ていた月詠だがハタと今日の目的を思い出した


「…ああ…今日ぬしらに頼みた…」

「何かいい匂いがするアル!」


神楽がふんふんと鼻を月詠が抱えてる包みに近づけた


「これをぬしらに味見してもらいたい」


月詠は包みを開けると綺麗な重箱を取り出した


中には色とりどりの綺麗で美味しそうな料理が並んでいる
所々にタコさんウインナーやハンバーグまで入っている


ちょうど昼時ということもあり万事屋の目の色が変わった


「うっひゃー!これ食べていいアルか?」

神楽は満面の笑みだ

「ちょっと神楽ちゃん!がっつき過ぎだよまだ話全部聞いてないし」


「話なんて後でいいアル!せっかく美味しそうなご飯が目の前にあるのにすぐ食べないなんて失礼ネ!そんなんだからお前はずっとチェリーボーイアルョ!!」

「据え膳喰わねばってチェリー関係ないだろうがあああ!!」

また始まってしまったやり取りに口を挟めずにいた月詠だったが銀時の視線に気づいた


「どんな風の吹き回しだよ?てめーが食いもん持ってくるなんて?まさか何か入ってるんじゃねーだろーな?つか卵焼きは砂糖入れてねーと俺は
認めねーぞ」


「安心しなんし何も入っておらんし、ただ味の感想を聞きたいだけじゃ」


卵は甘いぞと月詠は付け足した


それを聞くや否や三人は弁当にがっつき初めた


「美味しいアル特にこの卵焼きは絶品ね!」

「ああ神楽ちゃん!味見なんだから僕にも残してよ」


「やべーな…コレ…毎朝食いてぇ」


あっという間に重箱は空になった


「味はどうだったかの?晴太の運動会に持っていこうと思ったんだが子供の好みは大人とは違うからのぉ?」


「晴太には十分すぎるくらいアル」


「だからハンバーグとかタコさんウインナーとか入ってたんですね
文句なく美味しかったです
きっと晴太くんも喜びますよ」


「…そうか…なら安心じゃ」


新八と神楽の感想を聞いて月詠は満足したようだ


重箱を風呂敷に包み直すと月詠は席を立った


「運動会ではもっと弁当も豪華にする予定じゃ
ぬしらの分も用意するゆえ良かったら応援に来てくれないか?」


本当の目的はソレだったのだろう万事屋は二つ返事で請け負った


月詠が万事屋を出て階段を降りていると上から銀時に声をかけられた


「なぁその弁当誰が作ったんだ?」


月詠は足を止め振り返った


「ぬしになら毎朝作ってもよいぞ」


照れたのだろう顔を赤くし、そして逃げるように走って帰ってしまった



「アイツ…意味わかって言ってねーだろ…」


銀時はにやつきが止まらない上に赤くなってしまった顔をどうやってごまかして部屋に戻るか思案した



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