銀月短編集

□猫はきまぐれ
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月詠が吉原の見回りを終えてひのやの自室に帰ってみると、また抜け穴から入ってきたのか銀時がいた。


見ると今日の銀時は酔っ払っている。
いやこれは既に泥酔の域かもしれない。
吉原が解放されてからというもの、場所も時間帯もバラバラで月に一回から二回程、野良猫のようにふらっとやってきてはたわいない話をして帰っていく

だが、月詠の部屋に来る時に呑んでいるのは初めてだ


なにか飲みたいようなことでもあったのかと聞いてみるが特にないという

そのうちに眠くなったようなので布団をひいてやった

「つくよちゃーん」

腰にまとわりついてきたが軽くいなしてやる

「一緒に寝よーよ」

「酔っ払いと一緒に寝る趣味はありんせん」

「んなこと言わずに布団ひとつなんだしさ」

「確かにそれはそうだが」


聞いているのかいないのかさっさと銀時は寝てしまった

「少し酒臭いのは我慢するか」


見回りで疲れていたし、確かに布団は一組しかない
月詠は銀時の布団に入ることにした

「ふふっ
ぬしはあったかいの」

背中を向けて寝ている銀時の温もりを楽しんでいると
突然寝ていたはずの銀時が起き上がり月詠の上に覆い被さり口付けをしてきた


それは段々と深くなり月詠からは思わず息が漏れる

「ん…ふぁ」

と途端に銀時はバッと布団の脇へと離れた

「お前少しは抵抗とかねぇのか?」



「わっちは銀時の前以外で女になる気はないからの」


銀時はため息をつきながら右手で頭をかく

「くっそ」

それだけ言うとまた布団に戻り月詠に背を向けて横になった

「酒なんて呑んでくるんじゃなかったぜ」

「別にわっちはかまわんが」


「俺が嫌なの」


手を出しかけておいてそれはないだろうという気持ちと初めてが先になってどこか安堵感があるホッとした気持ちが入り混じって月詠はため息をつく




「おめーは酒の勢いで抱く女じゃねぇんだよ」



蚊の鳴くような小さな声で少しスネたような物言いだ。


「ありがとうな銀時」
いまだこちらに背を向けている銀時に礼を言い月詠は眠りにつくのだった。











翌朝


「こらっ銀時今は昼間じゃ!」

「もう酒は抜けたからな。続きだ!続き」
 

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