銀月短編集
□月の光
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「今日も無事に終わってくれたか」
見回りが終わり月詠は少しの疲れと共に小さく溜め息をつきながら自室の扉を開けた。
「なっ」
思わず目を見張る
なぜなら部屋の奥で座ったまま木刀に寄りかかる銀時の姿が見えたからだ
「ぬしこんなところで何……」
思わず声をあげそうになったがすんでのところで押し留めた
銀時が月詠の部屋へと訪ねてくるのは初めてではない
どうやって入り口を見つけ出したのか…巧妙にカモフラージュしていたはずの抜け道を通り
様子を見にきたと言って畳の下から声をかけられた時には今以上に驚いたものだ
師匠の事件の後怪我が治るまでの間、野良猫のようにふらりと来てはたわいもない話をして帰っていった
月詠にとってその時間はなんとも心地よく
ずっと続いて欲しいと願っていたが
ここ最近はぱったりと来なくなったのでもう来ないものだと諦めていた
月詠は銀時を起こさないよう静かに側に寄り毛布をかけてやる
銀時はだらしなく口を空け涎を垂らしながらぐっすりと眠っているようだ
いつ来たのかわからないが待ち疲れて寝てしまったのだろう
「まったくこやつは…」
銀時の天パを起こさないようやさしく撫でながら呆れた声色で呟くが顔には笑みが浮かんでいた。