少女A

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『………ふあ?』


目を覚ますと一番に白い天井が視界に入った。


起き上がってゆっくり辺りを見回す。


ベッドや囲い込むように吊られたカーテン…多分此処は、保健室。


後頭部にズキズキと痛みを感じる。


…そうだ、私は階段から落ちたのでした。


きっと心優しい人が私を保健室まで運んでくれたのだろう。


ほっと一安心した私は再びベッドに身体を倒した。


…私、何で階段から落ちたんだろ。


…………思い、出せない。


頭がぼんやりとしてるせいなのか後頭部のせいなのか、落ちた時の記憶が曖昧になっている。

…まあどうせ私のことだから、足を滑らせて落ちたんだろうきっと。


それにしても、嫌な夢を見た気がする。


男の子が私の顔を覗き込んでて…あぁ、思い出すだけで寒気が。


そういえば…今、何時だろう。


ポケットから携帯を取り出し時間を確認。


『……7時半?』


嘘でしょ。もう夜じゃないですか。


何故保健室の先生は起こしてくれなかったのだろう。


私は少しの怒りを感じながらカーテンをシャッと開けた。


しーちゃんもう帰っちゃったんでしょね…。

明日謝らないと。



『…………あ、れ?』


開くと一番に目についたのは先生用の机。


まるで泥棒が荒らされたかのように、散らかっていた。


…本当にこの机は、先生の机なんだろうか。


保健室にご厄介にならない私でも疑ってしまう散らかりようだ。


「なんだ、起きてたのか」


背後から声が聞こえた。


『っ!』


肩を思いっきり揺らしておそるおそる振り返る。


そこにはスカーフを巻いた白衣の先生(?)が。


多分保健室の先生なんだろうけど…こんな先生だっけ。


新任の先生?


でも何処かで見た気が…。


「おい、大丈夫か?」


悶々と考え込む私が俯いているように見えたのか顔を覗き込んできた。


『え……っ?あ、大丈夫です』


それにしても綺麗な先生だ…。

女の人と間違えそうだ…。

「…まだ後頭部が痛むだろう。そこに座ってなさい」


『す、すみません』

頭を軽く下げると私は指差さされたソファに腰掛ける。


なんて心配している内に先生はいつの間にか私の向かいに腰掛けていた。


「俺は保険医の星月琥太郎だ。お前、名前は?」



『わ、私は…如月 千春と申します』


「如月、か。では単刀直入に聞こう、如月千春。お前はどうやってこの学園に入って来た?」


…………はい?



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