少女A

□01
2ページ/2ページ



多分私は物凄く間抜け面をしてるだろう。


だけど私には星月先生の言っていることが理解出来なかったのだ。



『あの…どうやってと言われましても……。まず私はこの学校の生徒でして…』



「お前みたいな生徒を俺は見たことない」



…いや私此処の女子高の生徒なんですけど。



それにこっちだってあなたみたいな先生見たことありませんから!



「…まず如月の着ている制服は此処とは異なっている。なによりこの学園には―…女子が一人しかいない」



―学園に女子が一人しかいない?


んな馬鹿な。此処は紛れもない女子高ですよ?

女子の生徒なんて沢山いて…。





…ちょっと待ってよ。たしかこの状況、どっかで聞いたことある……そうだ、しーちゃんだ。










「ねぇ千春!
とにかくやって見てよ!」


『しーちゃん、学校にゲームを持って来るのは禁止されてますよね…?』


「ひぃっ!黒いの出てるって!
でも学校の中に女の子一人だけって良くない!?」


『……はぁ、そんな状況、私は御免ですね。それにゲームのお話でしょう?』


「夢見るのはタダだからいいの!月子ちゃん羨ましいー!
星月学園にトリップしたーい!」


『……はあ』









…彼女がそんなことを話してたっけ。


そんな非現実的なこと、ある訳ないのに。


…でも待てよ。

一つの予感が頭を過った。

絶対にあり得ない嫌な予感が。



…まさか。


『星月先生…この学校の名前、何ですか?』


「? それは当然―星月学園に決まっている。それを知ってお前はここへ勝手に入って来たんだろう?」


…その、まさかだった。



予想、的中。


『………はぁ』


私は力ない溜め息を吐いてパタリと横に倒れた。


「っ!まだ頭が痛むのか?」


星月先生は慌てて私に駆け寄り肩を掴んで起こしてくれた。


やっぱり大人の男の人は優しいです。


『ありがとう、ございます…』


道理で話が噛み合わない訳だよ…。
だって星月先生は私の学校の保険医ではなく、星月学園の保険医なんですから。


私とは違う、世界の人。






『…とりっぷ?何ですかそれ?旅行?』


「トリップって言うのはねぇ…二次元の世界に行くこと!
あ、でもそんなこと聞くなんて…もしかして千春も興味持って『持ってません!』







―拝啓しーちゃん。



あなたの友人千春はどうやら…




『トリップ…しちゃいました?』




初めまして非現実現象



前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ