少女A
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大変なことになった。
私、如月 千春はゲームの世界にトリップしてしまったようです。
友人だったら喜ぶ展開だろうけど私にとっては地獄に落とされたような展開だ。
だって私は筋金入りの男嫌いなんですから。
「如月…」
『…………』
「………如月!」
『…………へ、あ?』
どうやら星月先生はさっきから私のことを呼んでいたようだ
「どうした、急にぼーっとして」
『え、あ…すみません』
…現実味、0。
自分が異世界に来てしまった、なんて。
でもこの学園の名前といい、女子生徒が一人だけと言う状況から見て間違いない。
後頭部の痛みも夢とかにしちゃやけにリアルだし。
夢とかでも無いのだろう。
…本当に、最悪。
しかもどうやったら私は元の世界へ帰ることが出来るんだ。
「で、話を戻そうか如月。お前はどうやって此処へ入って来たんだ?一応校門に監視カメラがあるから、不審者がいたら直ぐに分かるようになっているのだが」
…いや、元の世界へ帰る方法を考えるよりも先にすることがあった。
『あの先生、一言言っておきますけど…』
私は隣に座っている星月先生に向き直る。
『私は不審者じゃありません!』
まずはこの疑いを晴らさなければ…。
不審者扱いなんてたまったもんじゃない。
そして私が別世界の人間だということを話してみよう。
…信じてもらえるのとは別として。
目指せ不審者の汚名返上!
―今まで他校の生徒がうちの生徒の追っかけをしたり、門前払いを受けている者などを幾度なく見たことがあった。
が、まさか学園の敷地に侵入して、なおかつ木から落ちて保健室に運ばれた奴がいるとは誰が想像出来ただろうか。
『だから、階段からバーンと落ちて…!』
俺はさっきから必死に手を動かして何やら言ってる如月をチラリと横目で見た。
…どこからどうみてもありふれた学生にしか見えないよな。
けどコイツは客観的に見れば学園に無断で侵入した不審者だ。
一体…どちらが本当なのやら。
「…はぁ」
俺は如月に気付かれないよう小さく溜め息を吐いた。
―俺らしくもない。こんな見ず知らずの奴に頭を悩ませるなんて…。
如月、千春…。
本当に変わった奴だ。