少女A

□03
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『ふあー…』


「…如月、女が欠伸を堂々とするんじゃない」


『…ん、すみません』


トリップ2日目。


私は星月先生と朝御飯を食べている。もちろん此処、星月学園の保健室で。


私は根っからの低血圧で星月先生には半ば引きずられながら来た。


だから今も頭がぼーっとしてるし目なんて殆ど開いてない。

しかも此処の生徒に見つからないように来たのでただ今の時刻、6時38分。

部活動生徒がこの時間帯に来るらしい。

でも疑問が一つ。


『あの、私保健室へ来る必要あったんですか?
職員寮で待ってても良かったんじゃあ…』

「…お茶を淹れてもらう奴がちょうど欲しかった」


『…まぁ、やることないので構いませんけど』


小さな仕事でも必要にされてる気がして嬉しかった。


それに今お世話になっている身だからお安いご用。


先生からもらったおにぎりで空腹感を満たしたあと激しい眠気が私を襲った。


…仮眠取ろうかな。


『あの…ちょっとベッド借りても良いですか?いつ起こしてもらっても良いですから』


「あぁ、分かった。良いぞ寝ても」


『ありがとうございます…』


軽く頭を下げると私はカーテンを開け、ベッドにダイビング。


靴を履いたまま、うつ伏せ状態で。


目が覚めたら元の世界へ戻れて…るわけないよね。


戻れてたら昨日とっくに帰ってるもんな…。


そして私は夢の世界へと落ちていった。














「……!」


―深い意識の中、誰かが呼んでる気がした。


『……ん、あ…』


ゆっくりと目を開ける。


私は誰かの声を目覚まし替わりにして起きた。


…星月先生が起こしに来たのかな。


それにしても…
どのくらい寝てたんだろう。


もう少し寝ていたい衝動を抑え、私はゆっくりと身体を起こそうとする。が、


……なんか身体が重い。


背中にずっしりとした重み。


何、この重み。寝る前はこんなのなかったのに。


なんだろうと思い、頭だけを起こし、後ろを向くと―


『ほ、し、づき、せんせ!?』


―何故か私の背中の上で規則正しい寝息を立てる星月先生が。


私は顔に熱が籠るのを感じながら必死に星月先生から抜け出そうと体勢を立て直そうとする。


―って近い近い近い!


…私の努力は無駄だったのか、体勢をうつ伏せから仰向けにしただけでは全く意味が無い。


それどころか、星月先生の顔を超間近で見ることとなってしまった。


私はもう、顔を逸らすしかないようだ。


…ってちょっと待てよ。


はた、と気付く。


…この状況を誰かに見られたらマズイ!

そう思ってるのも束の間―


「琥太郎センセ!
また寝てるのかー!?……ってうおっ!誰だお前!」


タイミング悪くも
カーテンがシャッと開きオレンジ色の髪をした男の子が入って来た。

…最悪でしょこれは。



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