少女A

□03
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『あの…助けて下さってありがとうございました』


「困った時はお互い様だ!」


ニッと無邪気な笑顔を向けられ思わず目を逸らしてしまう。


―あの後、抜け出せない私をこの人が助けてくれたのだ。


星月先生はというとよほど寝不足なのか寝ぼけながら今度は奥の方へと移動していった。


『…お茶、どうぞ』

ソファに座る彼の前に小さな音を立てて置くと私は向かい側に座る。


…男の子の前にいるせいか手が震えてる。


やっぱりまだ怖いんだ…。


「おお、ありがとう!
えーっと名前は…」


『……如月、千春です』


「如月、な!
俺は此処の教師をしている陽日 直獅だ!」


よろしく!と爽やかな挨拶をした陽日くんは立ち上がり私に顔をずいっと近づける。


近い近い近い近い近い!


そして私の手を取ると、ぶんぶんと手を上下に振る。


『……っ!あの…っ』


陽日くんにとってはスキンシップなんだろうけど…本気で恥ずかしい!


「? どうした如月。顔が真っ赤だが…熱でもあるのか?」


首を傾げる陽日くんは両手で私の両頬を包むように触れると、コツンと私のおでこに自分のおでこを当てる。


『―っ!!?』


たった数十秒の間に私の熱はオーバーヒート。


なんかもう目眩がしてくるほど。


無自覚って本当に怖い。


「熱は…ないみたいだな」


よかったな!と笑いかけてくる陽日くん。

もう熱の心配は良いですから手を離して下さい!恥ずかしくて死にそうです!


「なんだか騒がしいな…って直獅と如月?」


眠そうにカーテンを開け、現れた星月先生。


なんだか救世主に見えました。



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