少女A

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「…じゃあ仕事も一段落したし、如月のこれからについて話し合うか」


ぐっと背伸びをして星月先生は眠そうにソファに腰掛けた。


『…よろしく、お願いします。あの…その前にちょっといいですか?』

「? どうかしたのか?」


『…どうして此処に当たり前のごとく陽日先生が居るのでしょうか』


座ってる向かい側に星月先生、そしてその隣には陽日先生がちょこんと座っている。


先生がそんなに暇で良いのか。


「そんな冷たいこと言うな如月!
もしかして何か聞かれたらマズイことなのか?」


『いえ…そういう訳じゃありませんけど』


この場にいるということは私がトリップして来たことも必然的に言わなければならなくて。

聞かれないか若干不安。


「そういえばさっきから気になってたのだが…琥太郎センセと如月はどういう関係なんだ?」


ほら来た。いずれ聞かれるとは分かっていたけど…なんて言おうかな。

…うーん。


「如月は俺の遠縁の親戚だ」


必死に訳を考えていた私に星月先生は助け船を出してくれた。


「如月の両親は最近事故で他界してな。だから今は俺が面倒をみてやってる」


…よくそんな嘘がすぐに思い付くな。でも星月先生ナイス!


『…そういう訳なんです』


「如月にそんなことがあったなんて…。如月!何か辛いことがあったら先生に相談しろよ!?」

『分かりましたから私の手を握ってる手離して下さい』


「…で、どうする如月。これからの生活」


『学校には行きたいですけど…この辺に良い女子高があるのか分かりませんし…』


「だったら琥太郎センセ!如月も星月学園に通えば『それは却下で』えー何でだよー!」


『だって只でさえ男の子苦手なのに…絶対無理です!』


そんなの死んだ方がマシだ!


「だが如月。ちょっと耳貸せ」


『?』


私は立ち上がり星月先生の下へと駆け寄る。


「もしかしたら帰る方法が分かるかもしれないぞ?それにお前が女子高に行くのより此処の学園に行ってくれた方がコネが利くのだが」


『うぐっ』


確かに星月先生の言ったことは正しい。私は元の世界へ未練は特にないがやっぱり帰りたいし、それに私の生活費を出してくれるのは星月先生だ。

経済面で先生に負担をかける訳にはいかない。


「一人女子がいるクラスにお前を入れてやれるし、そのクラスは直獅が担任だ。だから少しは安心出来るんじゃないのか?」


…先生の言葉に納得するしかなかった。


『…分かりました、入ります。星月学園』


…言いくるめられた気がするけど気にしないぞ。


「おっ!入ってくれる気になったか!先生は嬉しいぞー!」


笑いながら私の頭を豪快に撫でる陽日先生。

だけど私には拒む元気はなかった。



…拝啓、しーちゃん。
いい加減あなたの声が恋しくなってきました。

私は…これから生きていく自信がありません。



危険な宇宙へようこそ



 

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