少女A
□05
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『むー…』
朝、7時15分。
私は壁に立て掛けている鏡とにらめっこ。さっき制服を星月先生から受け取った時は可愛い制服だなーなんて思ってたけど…問題発生だ。
『…スカート、短すぎやしないか?』
前の学校ではここまで短くはなかった。足がコンプレックスな人はどうしろと言うんだ。
今度先生達に抗議しよう。
コンコン
「着替え終わったか?」
『はーい、すぐ行きまーす』
間延びした返事をして私は新品の鞄を持ち、ドアノブに手を掛けた。
大きな憂鬱と少しだけのわくわくを胸に。
『あの、どうですかね?やっぱり変ですか?』
おどおどしながら聞く私を頭から足まで見る星月先生。
「…ん、大丈夫だ。よく似合ってる」
『ありがとうございます…』
…そんな直球に言われても照れますよ。
「…よし行くか。保健室」
『はい!』
私なりに元気一杯返事すると先生の後を着いていった。
…本気で怖かった。
「おい、大丈夫か?」
『…は、い』
校門を通る時、生徒が何人か登校する姿があった。その人達の視線が凄く痛くて。星月先生の背中しか見れなかった気がする。
おかげでまだ手が震えてる。
さっきのことは早く忘れよう…。
「琥太郎センセー!…と如月!おはよう!」
陽日先生は保健室のドアを勢い良く入って来た。
『おはようございます…』
「…って如月ー!!顔色悪いぞ!大丈夫なのか!?」
『…はい、何とか』
「ならあんまり無理すんなよ?よし、じゃあ行くか!」
すっと手を差し伸べる陽日先生。
あーこういう時の陽日先生は紳士的だなって思った。
口には出さないけど。
『…ありがとうございます』
私は不思議とこの手を拒むことが出来なかった。
「如月」
『はい?』
保健室を出ようとしたら星月先生に呼ばれて振り向く。
「あんまり無理をするな。我慢出来なかったら、また此処に来い」
あぁ、もう何でこの人達はこういう時に凄く優しいのだろう。
泣きそうになるじゃないか。
『…ありがとうございます。行って、来ます』
笑顔で手を振ると先生も手を振って返してくれた。