少女A

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『…私もうお嫁に行けません。
うわー月ちゃーん!!』


「大丈夫よ千春ちゃん!
私がお嫁にもらってあげるから!」


『月ちゃん大好きです!』


「…キス一つで大袈裟な。
それに頬にしただけだから挨拶みたいなものだよ」


『黙って下さい悪の親玉!それに此処はアメリカじゃありませんよ!
というか私、10メートルは近付くなって言いましたよね!?』



どうやら私はこのアホ毛くんに気に入られたようだ。


さっきのほっぺたにキス
された件で月ちゃんの
過保護っぷりは増し、
アホ毛くんの私への
スキンシップも増えた。

あなた月ちゃんが好き
なんじゃなかったっけ!?


何故こうなった…。

「僕はフランスで育ったんだ。あっちじゃキスは挨拶って常識だよ?」


『早くその常識を捨てて日本の常識を知って下さい』


しかも帰国子女ですか。


「そうすれば千春ちゃんはお昼ご飯どうする?
お弁当とか持って来た?」


…そういえば今からお昼休みなんだっけ。


『あー…私は購買部で
パンでも買って一人で
食べます』


今までずっとお昼はそうして来た。

一人の方が楽だ。

月ちゃんも友達と食べるだろうし。

それに男の子と食べるくらいなら…。


「「えっ!」」


…何故二人ともそんなに驚いた顔するの。


「な、なら一緒に食べようよ!
それに錫也が多めに作ってるかもしれないし!」


『え…っでもなんか悪い気が「そうだよ!それに千春は転校初日だから購買部の場所とか分からないでしょ?」


『ま…まぁそうですが』


「錫也、哉太!
千春ちゃんも一緒に食べて良いよね!」


「…俺は構わねぇよ」


「如月さんも一緒に食べよう?
女の子一人で食べるなんて危ないだろ?
いつも多めに作ってるから如月さんの分もあるし」


『…は、はい』


イエスを言わざるを得ないじゃないか。

二人とも私の幼馴染みだから悪い人じゃないよ、って月ちゃんが言ってたけど…ねぇ。

男の子だから…。


今猛烈に走って逃げたい。



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