小説

□はるか
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桜の木の下で、初めて、君に出会ったあの頃。
覚えていますか?
あなたは、今でも・・・・。


「気持ちいい」
「今日も、いい天気だわ」
お弁当を、食べている少女に、僕は、話しかけてみた。
「あの〜」
「どこのクラス?」
「私?」
「僕、1年A組の小島信也です」
「桜の木に下で、おいしそうにお弁当食べているから、気になって」
「私、信也君より年上よ」
「2年B組、綾瀬はるか」
「小春日和で、気持ちいいよね?」
「桜の散る花びらが綺麗でいいんだ」
「そう、先輩か〜」
「ま〜細かいことは、気にしないから、はるかって呼んで」
「よろしくね」
はるかは、信也に、手を差し伸べた。
「あ、どうも」
信也は、照れくさそうに、手を握った。
「信也君も、お弁当食べれば!」
「僕、購買部に行く途中だった」
「今、買いに行ってくるね?」
「僕も、はるかちゃんと食べる」
「じゃね」
信也は、購買部へ走った。







「お帰り、信也君」
「ただいま、はるかちゃん」
「本当に、この場所いいね?」
「うん、お気に入りなの」
「桜が、綺麗だしね」
「うん、そう思うよ」
「はるかちゃんは、友達とお弁当食べないの?」
「う〜ん」
「特に、決めてないよ」
「今日は、晴れていて、気持ちよさそうだったから」
「信也君こそ、誰かと食べないの?」
「う〜ん」
「はるかちゃんともっと喋りたいから、今日は、ここで食べる」
「なんとなく、気持ちよさそうだしね」
「そう思うでしょう?」と、微笑んだ。
君の、第一印象は、おいしそうにお弁当を食べる不思議な子のイメージだった。
これが、君と僕の始まりだった。



「じゃ、また、明日」
「明日も、いるでしょう?」
「う〜ん、天気だったら」
「教室に戻るか?」
「うん」
「じゃね」と、信也が、手を振った。
「じゃね」
「また、明日」と、はるかも手を振った。
「はるか!!」
「誰?」
「今の彼、誰よ?」
「う〜ん、さっき、桜の木の下で、出会ったのよ」
「お弁当食べていたら、話しかけられての!!」
「え〜!!」
本田正美が、はるかを茶化した。
「で、それで?」
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