小説

□彼 first love
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あなたは、人を心から好きになったことありますか?

人を恋しく思ったことありますか?

会いたくて、会いたくて、泣いた夜もあったことありますか?

恋は、苦しくて、果敢なくて、もろいものです。


そう、彼と私は、出会ってしまった。
あの、春の頃。

いつも電車で、同じ車両に乗る彼を、ただ、見つめていた。
歯がゆくて、切ない恋心の私。

「おはよう、結」
「おはよう、綾」
「今日、電車混んでない?」
「うん、混んでいるね?」

新藤結は、高校3年生、新藤綾は、高校2年生の姉妹であった。
結と綾は、とても仲が良くて、最高の姉妹であった。




そう、彼に出会うまでは・・・・。







「おはよう、結」
「おはよう、綾」
「今日も、電車混んでいるね?」
「うん、ぎゅうぎゅう詰めね?」
「ちょっと、苦しい」
「うん」
「大丈夫?」
「キーキー」電車が思いっきり揺れた。
「キャー」と、人が、寄りかかった。
「すみません」と、大学生くらいの男の人が、結の肩を取り囲むように、窓に手を当てている。
「こちらこそ、すみません」
「あの」
「腕、痛いでしょうから、離してください」
「いいえ」
「君が、押しつぶされちゃうでしょう?」
「え!」
「私のため?」
「いいから、じっとしていて」
「はい、ありがとう」
結は、彼との距離感の近さに、ドキドキしていた。
男の人と近くにいることは、初めてだった。
結は、心臓の音が聞こえるくらい、ドキドキしていた。
結は、顔を赤らめていた。
「あのー」
「助けてくれてありがとう」
「私、新藤結といいます」
「僕、加藤一樹です」
「電車混んでいますね?」
「そうだね?」
「あと、妹の綾がいるんですけど」
「はぐれちゃって」
「そうなの?」
「妹といつも一緒に学校へ行っているの?」
「はい」
「年子だから、仲良しで」
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